「第11次兵庫県交通安全計画(案)」に意見表明
2021.06.18
交通安全思想の普及徹底および被害者支援の充実と推進等を要望
日本損害保険協会近畿支部(委員長:大野 博仁・東京海上日動火災保険株式会社専務取締役〔代表取締役〕)では、兵庫県が令和3年5月19日(水)~令和3年6月8日(火)の間に実施した「第11次兵庫県交通安全計画(案)」に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、碇 圭至 兵庫損保会会長(東京海上日動火災保険株式会社理事神戸中央支店長)名で意見表明を行いました。
本計画は、交通安全対策基本法第25条の規定により、国(中央交通安全対策会議)が策定する「第11次交通安全基本計画」に基づき、令和3年度から7年度までの5年間に講じるべき陸上交通の安全に関する施策の大綱を定めるもので、概要は以下のとおりです。
「第11次兵庫県交通安全計画(案)」の概要
- 1.基本理念(抜粋)
安全で安心して暮らせる兵庫を目指して、次の3点を基本として、総合的、かつ計画的に道路交通安全対策に取り組む。
・交通事故のない社会を目指して
・人優先の交通安全思想
・高齢化が進展しても誰もが安全に移動できる社会の構築
第1章 道路交通の安全
- (1)基本的な考え方
1.高齢者、子供、障害者等の交通弱者の安全確保、2.歩行者の安全確保、3.自転車の安全確保、4.地域の実情を踏まえた施策の推進、5.役割分担と連携強化、6.交通事故被害者等の参画と協働、7.新型コロナウイルス感染症の影響の注視 - (2)目標
1.令和7年までに交通事故死者数を 80 人以下にする。
2.令和7年までに交通事故重傷者数を 1,000 人以下にする。
3.踏切事故件数ゼロを目指す。 - (3)対策
<対策を考える視点>
1.高齢者、子供、障害者等の交通弱者の安全確保、2.歩行者の安全確保、3.自転車の安全確保、4.生活道路における安全確保、5.踏切道における安全確保、6.先端技術の活用促進、7.データ分析に基づくきめ細かな対策の推進、8.地域が一体となった交通安全対策の推進。
<講じようとする施策>
1.道路交通環境の整備、2.踏切道の交通環境の整備、3.交通安全思想の普及徹底、4.安全運転の確保、5.車両の安全性の確保、6.道路交通秩序の維持、7.救助・救急活動の充実、8.被害者支援の充実と推進
これに対し、兵庫損保会では、地域における交通安全を推進する観点等から、以下8点の意見表明を行っています。
意見内容
<意見1>
事故ゼロプランに基づく事故危険区間、事故危険個所の指定にあたっては、直近の交通事故の発生状況や多数の人身事故が毎年常態的に発生している箇所等柔軟な対応をお願いします。
当協会では、毎年秋に、県別の(人身)事故多発交差点マップを公表し注意喚起を行っております。交通安全に関する調査研究および推進、事故危険箇所の指定にあたって、参考にしていただければ幸いです。
【該当箇所】第1章、第3節、2、(1)ウ「幹線道路における交通安全対策の推進」(P.19~22)および
ソ「研究開発及び調査研究の充実」(P.33~35)
<意見2>
無電柱化は、平時の安全で快適な通行空間の確保に資するだけでなく、災害時の緊急車両の通行空間確保につながり、災害被害の低減や復旧復興の迅速化にも大きく寄与します。早期引上げに向け、積極的に推進いただくようお願いします。
【該当箇所】第1章、第3節、2、(1)カ「安心・安全な歩行空間の確保」(P.24)について
<意見3>
「段階的かつ体系的な交通安全教育の推進」に賛同します。なお、小・中・高校生は自転車を利用するケースが多いため交通安全教育が第一義と考えますが、自転車事故の加害者となった際に極めて重大な責任を負う可能性もあることから、成人を含めてその責任への対処法等について教育することが重要と考えます。
【該当箇所】第1章、第3節、2、(3)「交通安全思想の普及徹底」(P.37~40)
<意見4>
自転車損害賠償責任保険等の加入義務化や成年年齢の引き下げにより、高校在学中あるいは卒業後すぐに保険契約者となる機会が到来すること等を踏まえると、高校の授業における体系的な学びが必要です。このため、以下のように記載を追加し明確化する必要があると考えます。
「…自転車の安全な利用、自転車損害賠償責任保険等の加入義務化、(中略)運転者の責任、(中略)等について更に理解を深めるとともに、生徒の多くが、近い将来、普通免許等を取得すること(中略)から、強制保険である自動車損害賠償責任保険や任意の自動車保険の必要性を含め、(中略)交通安全教育を行う。」
【該当箇所】第1章、第3節、2、(3)(エ)「高校生に対する交通安全教育の推進」(P.39)について
<意見5>
当協会では、交通安全教育に関して、講演会・勉強会・研修会等への講師の派遣事業、年齢層に応じた教育テキスト・動画の作成・提供を行っております(⇒損保協会ホームページ:そんぽ学習ナビ)。交通安全教育の推進にあたっては、当協会として積極的に協力したいと考えております。
【該当箇所】第1章、第3節、2、(3)イ「効果的な交通安全教育の推進」(P.44)および エ「交通の安全に関する民間団体等の主体的活動の推進」(P.50)
<意見6>
「(6)先端技術の活用促進(P.15)では「サポカー・サポカーSの普及はもとより、…安全運転を支援するシステムの更なる発展や普及」とありますが、高齢運転者対策の充実にあたっては、「安全運転を支援するシステム等の推進」等を表題として追加で項目化し、運転支援機能等の啓発、高齢ドライバーへの国の補助金制度の周知徹底など、さらに踏み込んだ記載が必要と考えます。
【該当箇所】第1章、第3節、2、(4)ア(カ)「高齢運転者対策の充実」(P.52)
<意見7>
ドライブレコーダーの映像は、交通事故の客観的な証拠として、また、記録映像により運転者自身が運転特性を把握し安全運転に対する意識を向上させることや記録映像を利用した運転者や乗務員の安全教育への活用も期待できます。このことから、普及拡大にあたっては、積極的な推進をいただくようお願いします。
【該当箇所】第1章、第3節、2、(4)ウ(ウ)ドライブレコーダー等の普及促進(P.54)
<意見8>
交通事故に係る保険金詐欺は、反社会的勢力等の資金源となることがあるため、交通事故事件等の捜査力の強化は引き続き注力をお願いします。
【該当箇所】第1章、第3節、2、(6)イ「交通事故事件等に係る適正かつ緻密な捜査の一層の推進」(P.66)
兵庫損保会では、今後も行政や関係機関と協力し、地域における安全・安心に資する取り組みを継続的に推進していきます。