「第11次滋賀県交通安全計画(案)」に意見表明
2021.05.07
高齢者交通事故防止に関する支援の充実など要望
日本損害保険協会近畿支部(委員長:大野 博仁・東京海上日動火災保険株式会社専務取締役[代表取締役])では、滋賀県が令和3年3月19日(金)~令和3年4月19日(月)の間に実施した「第11次滋賀県交通安全計画(案)」に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、坂田 純恵 滋賀損保会会長(東京海上日動火災保険株式会社理事滋賀支店長)名で意見表明を行いました。
本計画は、交通安全対策基本法第 25 条に規定する「県交通安全計画」に基づき、令和3年度から令和7年度までの5年間に講じるべき陸上の交通安全に関する施策の大綱を定めるもので、概要は以下のとおりです。
第11次滋賀県交通安全計画(案)」の概要
- 1.基本理念(抜粋)
交通安全計画は、人優先の交通安全思想の下、10次・50年にわたる取組を行ってきたところですが、依然として、毎日のように、新たに交通事故被害者等となる方がおられます。高齢化の進展への適切な対処、交通弱者の安全の一層確保、さらに、新型コロナウイルス感染症対策等の様々な取組が必要とされる中、時代のニーズに応える交通安全の取組が一層求められています。 そこで、これまで実施してきた各種施策の深化はもちろんのこと、交通安全の確保に資する先端技術を取り入れた新たな時代における対策にも取り組み、 これにより、県民すべての願いである安全で安心して暮らすことができ、移動することができる社会、究極的には「交通事故のない安全・安心な滋賀」を目指します。 - 2.計画期間
令和3年度から令和7年度までの5年間。
- 〇 第1章
道路交通の安全 -
(1)基本理念
人命尊重の理念に基づき、究極的には、交通事故のない安全・安心な滋賀を目指す。
(2)道路交通の安全についての目標
1.令和7年までに 24 時間死者数を 35 人以下にする。
2.令和7年までに重傷者数を 290 人以下にする。
(3)道路交通の安全についての対策
<6つの視点>
1.高齢者および子どもの安全確保、2.歩行者および自転車の安全確保と遵法意識の向上、3.生活に密着した身近な道路および交差点における安全確保、4.先端技術の活用推進、5. 交通実態等を踏まえたきめ細やかな対策の推進、6.地域が一体となった交通安全対策の推進
<8つの柱>
1.道路交通環境の整備、2.交通安全思想の普及徹底、3.安全運転の確保、4.車両の安全性の確保、5.道路交通秩序の維持、6.救助・救急活動の充実、7.被害者支援の充実と推進、8.研究開発および調査研究の充実
- 〇第2章
鉄道交通の安全 -
(略)
- 〇第3章
踏切道における交通の安全 -
(略)
これに対し、滋賀損保会では、地域における交通安全を推進する観点等から、以下4点の意見表明を行っています。
意見内容
意見1
高齢者の交通安全に関し、高齢ドライバーによる事故が社会的に問題視され、基本計画では、免許返納後の移動手段の確保・充実が記載されておりますが、移動手段の確保・充実が十分に行えず、免許返納後の生活が困難となる地域もあるかと考えております。
「ア.高齢者の日常の移動手段や方法に応じた対策の推進」では「身体機能の変化等を補う技術の活用・普及」について、また、「(5) 高齢者等の移動手段の確保・充実」では「地域交通の改善を図るとともに、自動運転やMaaSといった新たなモビリティサービスを活用する等」について記載されておりますが、これらへの移行期にあたり、例えば、「(4) 先端技術の活用推進」に記載のあるサポカー・サポカーSや運転操作の誤りによる事故を未然に防止するための安全運転支援システム(具体的には後付けの踏み間違い防止装置など)を購入する高齢ドライバーへの補助等について、大きな指標の1つとして盛り込むことを検討いただければと存じます。
【該当箇所】第1章、第3節、Ⅰ、1、(1)「ア.高齢者の日常の移動手段や方法に応じた対策の推進」、 同Ⅰ、1、「(4)先端技術の活用推進」、同Ⅱ、1、「(5) 高齢者等の移動手段の確保・充実」
意見2
自転車事故防止に関し、近年、自転車事故による高額賠償事例が増加している中、滋賀県においては県内外からのビワイチ体験者が年々増加傾向にあり、自転車利用者に対する自転車損害賠償責任保険等の損害保険啓発の重要性が増していると考えております。
「(イ)自転車の安全利用」、「ウ.自転車の安全利用の推進(ビワイチ等)」、「(4)自転車の安全性の確保」では、(自転車)損害賠償責任保険等への加入促進・徹底等について記載されておりますが、同保険への加入義務化などを内容とする「『滋賀県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例』に基づいた(自転車)損害賠償責任保険等への加入促進・徹底」と記載したほうが、本件の実効性が確保されると考えておりますので、加筆をご検討いただければと存じます。
なお、当協会では、学校現場への講師派遣活動や消費者向け講演会等を各地の消費生活センターと連携し、啓発イベントについては警察本部等と連携して実施しておりますが、滋賀県においても引き続き連携した啓発活動にご支援・ご協力をいただければと存じます。
【該当箇所】第1章、第3節、Ⅰ、1、(2)、イ 、「(イ) 自転車の安全利用」、同Ⅱ、2、(3)、「ウ.自転車の安全利用の推進(ビワイチ等)」、同Ⅱ、4、「(4)自転車の安全性の確保」、同Ⅱ、7、(2)、「ウ.自転車損害賠償保険等への加入義務の徹底」
意見3
交通事故防止啓発等に関し、「交通安全教育等の推進」、「交差点における安全確保」、「 反射材用品等の普及促進」、「ドライブレコーダーの普及啓発」など、様々な箇所で交通安全啓発について記載いただいておりますが、当協会が警察本部等と連携して取り組んでいる活動と親和性が高く、滋賀県においてもこれら啓発活動にご支援・ご協力をいただければと存じます。
【該当箇所】第1章、第3節、Ⅰ、1、(2)、「イ.交通安全教育等の推進」、同Ⅰ、1、(3)、「イ.交差点における安全確保」、同Ⅱ、2、(3)、「カ.反射材用品等の普及促進」、同Ⅱ、2、(3)サ、「(オ)衝突被害軽減ブレーキや自動運転等の先進技術について」
意見4
道路の改築等による交通事故対策の推進に関し、「キ.道路の改築等による交通事故対策の推進」に関しては、人身事故の半数以上は交差点(付近を含む)で発生しております。(当協会のホームページでは、毎年各都道府県の人身事故件数ワースト交差点を「全国事故多発交差点マップ」として公表し、周知啓発をしております。)つきましては、民間企業や事業者団体の情報等も踏まえ、当該交差点形状の見直し・交差点のコンパクト化や立体交差化等・交通事故低減対策をより一層推進していただければと存じます。
【該当箇所】第1章、第3節、Ⅱ、1、(3)、「キ.道路の改築等による交通事故対策の推進」
滋賀損保会では、今後も行政や関係機関と協力し、地域における安全・安心に資する取り組みを継続的に推進していきます。