「第11次大阪府交通安全計画(案)」に意見表明
2021.08.12
交通安全思想の普及徹底および無電柱化の推進等を要望
日本損害保険協会近畿支部(委員長:藤原 剛・三井住友海上火災保険株式会社常務執行役員 関西本部長)では、大阪府が令和3年7月2日(金)~令和3年8月2日(月)の間に実施した「第11次大阪府交通安全計画(案)」に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、布垣 光盛 消費者部会長(三井住友海上火災保険株式会社関西総務部長)名で意見表明を行いました。
本計画は、国(中央交通安全対策会議)が策定した「交通安全基本計画」に基づき、令和3年度から7年度までの陸上交通の安全に関する総合的かつ長期的な対策の大綱として定めるものです(概要は以下のとおり)。
「第11次大阪府交通安全計画(案)」の概要
第1章 道路交通の安全
- 道路交通事故の現状等
交通事故死者数については、ここ数年減少傾向にあり、令和2年にはこれまでの統計史上最少となる124人となったが、発生件数 及び負傷者数は依然高い数値で推移している - 道路交通の安全についての目標
令和7年度までに、交通事故死者数 87人以下、交通事故重傷者数 2,160人以下とする - 今後の道路交通安全対策を考える視点
1 高齢者及び子供の安全確保 2 歩行者及び自転車の安全確保と遵法意識の向上
3 生活道路及び幹線道路における安全確保 4 先端技術の活用推進
5 交通実態等を踏まえたきめ細かな対策の推進 6 地域が一体となった交通安全対策の推進 - 具体的な施策
1 道路交通環境の整備 2 交通安全思想の普及徹底 3 安全運転の確保 4 車両の安全性の確保
5 道路交通秩序の維持 6 救助・救急活動の充実 7 被害者支援の充実と推進
8 調査研究の充実
第2章 鉄道交通の安全 (略)
第3章 踏切道における交通の安全 (略)
これに対し、消費者部会では、以下9点の意見表明を行っています。
意見内容
<意見1>
当協会では、毎年秋に、都道府県別の事故多発交差点マップ(人身事故の多い交差点のマップ)を公表し注意喚起を行っております(~中略~)。
交通事故の危険性が高い特定の箇所・区間の指定にあたっては、直近の交通事故の発生状況や多数の人身事故が毎年常態的に発生している箇所を考慮する等、柔軟な対応をお願いします。また、事故多発交差点においては、「右折レーンの設置や延伸を始めとする短期的なハード整備、信号制御時間の調整などのソフト整備、立体交差化等」(P.23)を積極的に推進するようお願いします。
【該当箇所】
第1章、第2節、2、(1)、③、ア「事故危険箇所対策の推進」(P.20)
第1章、第2節、2、(1)、④、ウ「幹線道路対策の推進」(P.24)
<意見2>
無電柱化は、安全で快適な通行空間の確保に資するだけでなく、災害時の緊急車両の通行空間確保につながり、災害被害の低減や復旧復興の迅速化にも大きく寄与します。これらの観点も踏まえ、(~中略~)無電柱化率の早期引上げに向け、積極的に推進いただくようお願いします。
【該当箇所】
第1章、第2節、2、(1)、④、イ「歩行者・自転車対策及び生活道路対策の推進」(P.24)
<意見3>
高齢ドライバーによる事故が社会的に問題視される中、本計画の⑤「高齢者等の移動手段の確保・充実」(P.25)では、「地域住民の移動手段の確保」が記載されておりますが、これを十分に行うのが困難な地域、またはこれに相当の時間を要する地域もあるかと存じます。
したがって、当面は「サポカー・サポカーS」(P.17)や「運転者の危険認知の遅れや運転操作の誤りによる事故を未然に防止するための安全運転を支援するシステム」(P.17)の普及促進、およびこれらの購入を希望する高齢ドライバーへの国の補助金制度の周知徹底なども必要と考えます(~以下略~)。
【該当箇所】
第1章、第2節、2、(1)、⑤「高齢者等の移動手段の確保・充実」(P.25)
第1章、第2節、2、(2)、①、カ「高齢者に対する交通安全教育の推進」(P.38)
第1章、第2節、2、(3)、①、オ「高齢運転者対策の充実」(P.46)
<意見4>
「段階的かつ体系的な交通安全教育の推進」に賛同します。特に小学生、中学生、高校生は移動手段として自転車を利用するケースが多いため、(~中略~)成人を含めてその責任への対処法等についても教育することは、「被害者支援の充実と推進」(P.64)の観点からも重要と考えます。
【該当箇所】
第1章、第2節、2、(2)、①「段階的かつ体系的な交通安全教育の推進」(P.35)
<意見5>
自転車損害賠償保険等の加入義務化や成年年齢の引き下げにより、高校在学中あるいは卒業後すぐに保険契約者となる機会が到来すること等を踏まえると、高校の授業における体系的な学びが必要です。このため、以下のように記載を追加し明確化する必要があると考えます。
「…生徒の多くが,近い将来,普通免許を取得することが予想されることから,強制保険である自動車損害賠償責任保険や任意の自動車保険の必要性を含め,運転免許取得前の教育としての性格を重視した交通安全教育を行う。」
【該当箇所】
第1章、第2節、2、(2)、①、エ「高校生に対する交通安全教育の推進」(P.37)
<意見6>
当協会では、交通安全教育に関する講演会・勉強会・研修会等への講師の派遣事業、年齢層に応じた教育テキスト・動画の作成・提供を行っております(⇒損保協会HP:そんぽ学習ナビ)。交通安全教育の推進にあたっては、当協会として積極的に協力します。
【該当箇所】
第1章、第2節、2、(2)、②「効果的な交通安全教育の推進」(P.40)、
第1章、第2節、2、(2)、④「交通の安全に関する民間団体等の主体的活動の推進等」(P.44)
<意見7>
ドライブレコーダーの映像は、交通事故の客観的な証拠として有効なだけではなく、記録された映像を見ることにより、運転者が交通事故につながりやすい運転行動を振り返って客観的に確認することが可能です。(~中略~)普及拡大にあたっては、積極的な推進をいただくようお願いします。
【該当箇所】
第1章、第2節、2、(2)、②「効果的な交通安全教育の推進」(P.40)、
第1章、第2節、2、(3)、③「安全運転管理の推進」(P.48)
第1章、第2節、2、(8)、②「道路交通事故原因の総合的な調査研究の充実・強化」(P.66)
<意見8>
自転車における損害賠償保険に関し、P.41、P.55、P.64に記載のある「自転車損害保険等への加入促進」という旨の文言について、「大阪府自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」では同保険の加入が義務付けられていることから、「自転車損害賠償保険等への加入義務の徹底」など、府民に適切なメッセージが伝わる表現にしたほうがよいと考えます。
また、自転車損害賠償保険等への加入について、加入義務徹底の実効性を高める観点や、確実に府民へメッセージを伝える観点から、「①自動車損害賠償保障制度の充実等」(P.64)と並列の形で、「②自転車損害賠償保険等への加入義務の徹底等」などの表題で新たに項目化し、本件に関して記載いただくことを検討願います。
【該当箇所】
第1章、第2節、2、(2)、③、ウ「自転車の安全利用の推進」(P.41)
第1章、第2節、2、(4)、⑤「自転車の安全性の確保」(P.55)
第1章、第2節、2、(7)「被害者支援の充実と推進」(P.64)
<意見9>
交通事故に係る保険金詐欺は、反社会的勢力等の資金源となることがあるため、(~中略~)交通事故事件等の捜査力の強化は引き続き注力をお願いします。(~中略~)当協会では、今後も警察本部のご指導のもと、犯罪撲滅に向けて協力していきたいと考えております。
【該当箇所】
第1章、第2節、2、(5)、②「交通事故事件等に係る適正かつ緻密な捜査の一層の推進」(P.57)
近畿支部では、今後も行政や関係機関と協力し、地域の安全・安心に資する取り組みを推進します。