「大阪府地域防災計画修正案」に意見表明
2021.12.13
大阪府における防災・減災を要望
日本損害保険協会近畿支部(委員長:藤原 剛・三井住友海上火災保険株式会社常務執行役員 関西本部長)では、大阪府が令和3年11月1日(月)~令和3年12月1日(水)の間に実施した「大阪府地域防災計画(基本対策編、原子力災害対策編)修正案」に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、布垣 光盛 消費者部会長(三井住友海上火災保険株式会社関西総務部長)名で意見表明を行いました。
本修正は、災害対策基本法の改正(令和3年5月)や新型コロナウイルス感染症対策など、国の防災基本計画の修正等を踏まえ行うもので、概要は以下のとおりです。
「大阪府地域防災計画(基本対策編、原子力災害対策編)修正案」の概要
〇主な修正内容
1.災害対策基本法の改正を踏まえた修正
・避難勧告・指示を一本化し、避難情報のあり方を包括的に見直し
・避難行動要支援者の個別避難計画の作成について、市町村の努力義務化
・広域避難に関する事項 など
2.新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた修正
・避難所の感染症対策、感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練の実施
・自宅療養者等の避難の確保に向けた具体的な検討・調整、情報提供
・被災自治体への応援職員等への感染症対策 など
3.最近の施策の進展等を踏まえた修正
・災害応急時における交通機能の確保
・災害対応業務のデジタル化の推進
・福祉避難所の活用による要配慮者の円滑な避難の確保
・女性の視点を踏まえた防災対策の推進
・防災ボランティアと自治体・住民・NPO等との連携・協働の促進
・正常性バイアス等の必要な知識を教える実践的な防災教育の推進
・それぞれの被災者に適した支援制度を活用した生活再建 など
これに対し、消費者部会では、以下のとおり意見表明を行っています。
「大阪府地域防災計画(基本対策編、原子力災害対策編)修正案」への意見内容
<意見1>
防災知識の普及啓発に関して、住宅を失った際の経済的損失の大きさと復旧・復興に係るコストの高さ、ハザードマップ等を通じた居住に適した地域の選定の重要さ、住宅の耐震性能の確認・耐震化の重要性、住宅・家財の再調達コストの把握、公的災害支援制度等の理解、さらに避難生活に要するコスト等の啓発が必要であり、記述の検討をお願いします。
【該当箇所】第2章 地域防災力の向上(P.90)
<意見2>
中小企業を中心とした事業継続計画(BCP)の策定、事業継続マネジメント(BCM)の実施や防災活動を促進するための各種施策については、損保業界としても引き続き積極的に推進していく所存であり、継続した支援取組みの実施をお願いします。
【該当箇所】第2章 地域防災力の向上(P.98)
<意見3>
自然災害が頻発・激甚化し、災害ハザードエリアにおける開発抑制は急務であると当協会も認識していた中、都市再生特別措置法等の改正を踏まえ、法的な観点から早急にご対応いただいたことおよび改正の内容についてご賛同します。
なお、同エリアからの「移転の促進」についても、事前減災の観点から政策的なアプローチが必要と考えております。補助金等の充実および利用可能な制度の周知・案内など、引き続きご対応をお願いします。
【該当箇所】第3章 災害予防対策の推進(P.102、133)
<意見4>
密集市街地の整備に関しては、国が平成24年に「地震時等に著しく危険な密集市街地」として公表し、平成32年までの解消を目標としていた経緯にあります。本件は、令和3年3月19日に閣議決定した住生活基本計画(全国計画)において、上記密集市街地の解消とそれにあわせた地域防災力の向上に資するソフト対策を強化することとされております。なお、この時点において全国で111地区2,219haが解消できていない状況にあると承知しております。
大阪府においては、同時点における上記密集市街地全体の29.7%となる33地区、面積数で45.7%となる1,014haと最も大きい割合を占める状態となっています。
南海トラフ巨大地震の発生が高い確率で起こることが懸念され、発生した場合には密集市街地で生じる火災旋風等により、多くの人命が失われる危険性が指摘されています。
府民の生命・財産を守るべく早期の解消を図るため、従来の延長線上の解消施策に止まらず、実効性の高い、より踏み込んだ解消施策の実施のご検討をお願いします。
【該当箇所】第3章 災害予防対策の推進(P.104)
<意見5>
災害救助法の適用時には、府民支援のため、損保業界として必要な支援策を講じてまいります。
【該当箇所】第7章 被災者の生活支援(P.253)
近畿支部では、今後も行政や関係機関と協力し、地域の安全・安心に資する取り組みを推進します。