新潟県気候変動適応計画(素案)へ意見提出
2021.01.25
自然災害に対する自助の備えとして、損害保険の理解・普及促進の記載を要望
同計画は、気候変動への認識や、「新潟県気候変動適応に関する研究会」からの提言を踏まえ、本県の気候変動適応策の方針、取組等について策定するものです。
新潟県では、気候変動の原因の1つである地球温暖化を緩和させる対策も重要であり、緩和策を記載した「県地球温暖化対策地域推進計画」と両輪として取組を推進することとしています。
新潟県気候変動適応計画の影響評価および対応方針
【影響評価】
最も重要度の高い項目は、本県の重要な産業又は県民の 生命・財産に関わるものであり、深刻な影響を示す近年の状況や将来予測のデータがある ものとして、農業分野の水稲(主食用米)、自然災害分野の水害(洪水・内水)及び雪害並 びに健康分野における暑熱(熱中症等。関連して、農業分野の熱中症対策、国民生活・都市生活分野のその他(暑熱による生活への影響)も含む。)を選定しました。
【対応方針】(抜粋)
イ.水害(洪水・内水)
近年、気候変動の影響により、毎年のように「数十年に1度」「想定外」と言われる大規模な自然災害が頻発化しており、防災・減災対策をハード・ソフト両面にわたって一層強化することが必要です。
災害から県民の命と暮らしを守るハード対策を効果的に進めるとともに、住民目線に立ったソフト対策を関係機関・団体等と連携して取り組むなど、ハード・ソフト対策をもう一段加速し、一体的・総合的に推進します。
【主な取り組み】
1.災害から県民の命と暮らしを守るハード対策の強化
- 施設整備により被害発生リスクを低減させる対策
- 施設能力を超える事象が発生しても、被害を最小化する対策
2.住民の主体的かつ適切な避難行動への支援
- 住民に対し避難情報等を確実に伝達するため、スマートフォン用の県防災アプリや河川情報等を配信する登録型メールの運用を開始し、情報伝達手段の多重化を支援
- 住民の確実な避難行動に繋げるため、防災情報を理解・説明でき、地域における防災リーダーとなるような人材の育成を支援
- 浸水想定区域図作成等による市町村等が行うハザードマップ作成や要配慮者利用施設の避難確保計画作成支援、河川の防災情報提供による市町村の避難情報発令や地域防災力の向上に資する支援などによる、市町村や関係団体等の連携・協力の促進
これに対し、新潟損保会では県民の生命と財産を守り、将来の成長につなげる適応策におけるソフト対策には、災害に関する被害を想定した事前の備えが大切であり、住宅や家財など、私有財産に係る被害からの経済的な復旧・復興は、公的資金や善意による義援金では完全に賄うことができないため、県民としても自助の部分での意識向上と経済的な備えが重要であると考えることから、「自然災害に対応する損害保険等の理解・普及促進」の記載を求める等、下記の通り、意見提出いたしました。
新潟損保会が提出した意見
【該当箇所】
第4章 分野ごとの適応策(影響評価と対応方針詳細)
4.自然災害・沿岸域
(1)水害、(2)高潮、高波等、(3)土砂災害、(4)雪害、(5)その他(強風等)
【提出意見】
- 第3章で指摘のとおり、ハード・ソフト両面からの対応推進が必須とされる中、 県民の生命と財産を守り、将来の成長につなげる対応策として、公助・共助・自助の3面からの対応がいずれも重要性を増す。 特に、共助の一つである地区防災会議や避難計画の策定については、新潟県とともに民間組織も連携しての支援活動を期待するものであり、私ども日本損害保険協会としても当該策定に関しての情報提供やワークショップの開催などについても可能な範囲で協力したいと考えている。その観点から「民間の支援も活用した地区防災計画策定の協働支援」として明記願いたい。
- 自助の部分では自然災害により住宅や家財などが損害を被った場合の復旧復興については、私有財産への公費の投入は、住宅再建支援法に基づく支援金など限られた支援にとどまっており、県民自らが損害保険などへの加入を備えの一つとして用いていくことが極めて有効である。風水害に対応する損害保険(火災保険等)や地震災害への備えとしての地震保険などの理解・普及促進については、「新潟県地震等災害保険・共済普及協議会」において、官民が連携して行っているところである。本計画にも是非、「自然災害に対応する損害保険等の理解・普及促進」を明記願いたい。
新潟損保会は、今後も新潟県における防災・減災の取組みに協力していきます。