第2期「福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略」(原案)に意見表明
2020.01.16
サポートカー費用補助、がけ地等居住住民の住み替え促進等につき要望
一般社団法人日本損害保険協会九州支部(委員長:三島 謙一・あいおいニッセイ同和損害保険 (株)執行役員)では、福岡県が12月20日(金)~1月6日(月)の間に実施した「第2期「福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略」(原案)」に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、三島 九州支部委員長名で意見表明を行いました。
今回、福岡県は、人口の将来展望を踏まえ、地方創生を実現するための施策をまとめた「福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略」について、第1期(平成27年~令和元年度)の成果と第2期(令和2~6年度)に向けた課題を検証し、社会経済状況の変化等を踏まえた見直しを行い、第2期「福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略」を策定するため、パブコメに付したものです。
■第2期「福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略」(原案)の概要
1.策定の趣旨 - 第1期総合戦略の成果と第2期に向けた課題を検証するとともに、社会経済状
況の変化、県民の皆様のニーズ、市町村における課題、SDGsの考え方を
踏まえた見直しを行い、第2期「福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略」
を策定する。
2.構 成 -(1)人口ビジョン
○本県の将来人口を展望すると、2040年には480万人前後となり、さらに
人口減少は緩やかになっていきながら推移。
○2060年には総人口約459~427万人、生産年齢人口比率53%程度、老年
人口比率、30~33%程度となることを展望。
(2)地方創生総合戦略
基本目標1 「魅力ある雇用の場」をつくる
基本目標2 結婚・出産・子育ての希望をかなえる
基本目標3 地方創生を担う人材を育て、地域で活かすとともに、福岡県への
人の流れをつくる
基本目標4 誰もが住み慣れた地域で暮らし、活躍できる、安全・安心で活力
ある地域社会をつくる
(3)広域地域振興圏の現状と施策の方向性
○市町村の総合戦略策定を支援するための情報として、15圏域ごとの人口構
造、人口動態、産業構造、交流人口、地域資源等に関する現状分析と施策
の方向性を提示。
3.計画期間 - 2020年度~2024年度までの5年間。
これ対し、九州支部委員会では、当協会として、地域における安全・安心を推進する観点から、(2)地方創生総合戦略に対し以下のとおり意見表明を行っています。
意見
○(4)②d 交通安全活動(飲酒運転撲滅対策等)の促進(P.27)について
高齢ドライバーの事故防止のため、サポカーや踏み間違い防止装置購入時の費用補助に
かかる施策を実施願いたい。
また、事故が多発している交差点について、道路や信号機の改良等、事故減に向けた取組
みを積極的に検討・実施願いたい。
○(5)①c 自転車の活用の推進(P.28)について
自転車の活用推進を行うにあたっては、自転車賠償保険付保義務化、自転車道整備の拡充
についても、併せて、積極的に検討願いたい。
○(7)①c 住み替えの促進(P.31)について
頻発する豪雨等による土砂災害から県民の生命・身体・財産を守り、県民の「安心を実
現」するため、土砂災害特別警戒区域内に居住する住民の安全な地域への移転を促進する
「がけ地近接等危険住宅移転事業」について、補助制度のある市町村の拡大に資する施策
を実施するとともに利用を促進するため制度の充実を図っていただきたい。
理由
○(4)②d 交通安全活動(飲酒運転撲滅対策等)の促進(P.27)について
近年、高齢ドライバーによる事故が社会的に問題視されており、免許返納数が年々増加し
ているが、都市部以外では、公共交通機関の路線縮小等もあり、免許返納を行うと生活が
困難となるのが現状である。免許返納が難しい場合、サポカーへの乗り換えや踏み間違い
防止装置の設置が事故防止につながると考えており、これらの普及のため、意見するも
の。
なお、政府が緊急経済対策で1,127億円にのぼる補助を決定したこと等を踏まえ、福岡県
として高齢者事故防止策の面だけでなく、高齢者生活支援策としても実施いただきたい。
2018年に全国で人身事故数ワースト1となった福岡県北九州市小倉区の「湯川交差点」
では、信号を変えたことで事故数が激減しており、成果が出ている取組みであることか
ら、今後も実施いただきたく意見するもの。
○(5)①c 自転車の活用の推進(P.28)について
福岡県内の自転車関連の交通事故数は減少傾向にあるものの、対歩行者の事故件数は減少
していない模様であり、自転車が加害者となる事故でも高額な賠償請求がなされる事例は
多数存在している。インバウンドの取り込みあるいは地域活性化を進めるにあたって自転
車の活用を推進することは有効な方策であるので、事故が起きた場合への備えや事故が起
きないような環境整備が不可欠であると考えるため意見したもの。
○(7)①c住み替えの促進(P.31)について
福岡県内では、土砂災害警戒区域として17,676箇所(土砂災害特別警戒区域16,110箇所)
が指定されている。
県は、土砂災害から県民の生命、身体および財産を守るため、がけ地の崩壊等のおそれが
ある地域に居住する住民を対象に「がけ地近接等危険住宅移転事業」を市町村が行う場合
に、県として補助することで、居住不適地域からの移転を支援している。しかしながら、
県のホームページによると同事業を行う自治体は11市町村にとどまっているのが現状であ
り、一歩踏み込んだ施策の実施を検討願いたく、意見するもの。
なお、今回の政府による緊急経済対策では「災害からの復旧・復興と安全・安心の確保」
が施策の要となっていることから、福岡県としても県民の安全・安心の向上のため、これ
までの取り組みを更に前進させて実施いただきたい。
当支部では、今後も行政や関係機関と協力し、地域における安全・安心に資する取り組みを継続して推進していきます。