大分県長期総合計画「安心・活力・発展プラン2015」改訂素案に対する意見表明
2020.02.10
サポートカー費用補助、地震保険の地域防災計画への明記拡充等を要望
一般社団法人日本損害保険協会九州支部大分損保会(会長:山本 泉・あいおいニッセイ同和損害保険(株)理事大分支店長)では、大分県が12月24日(火)~1月31日(金)の間に実施した長期総合計画「安心・活力・発展プラン2015」改訂素案に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、山本 大分損保会会長名で意見表明を行いました。
今回、大分県では、従来の常識をはるかに越えた速度で変化している社会経済情勢を踏まえるとともに、新時代「令和」を見通しながら、長期的な視点に立って、将来の大分県の布石となるよう、政策や施策の見直しを行い、有識者からなる「安心・活力・発展プラン2015」中間見直し委員会等での議論を経て素案を取りまとめ、大分県長期総合計画「安心・活力・発展プラン2015」の改訂版を策定するため、パブコメに付したものです。
■大分県長期総合計画「安心・活力・発展プラン2015」改訂素案の概要
1.ポイント -
- 県民とともに築く「安心」「活力」「発展」の大分県づくりを目指す
- 時代の要請を踏まえ、各分野における新たな政策・施策を展開
・大分県版地方創生の加速前進
・先端技術への挑戦
・強靱な県土づくり
2.主な新規・拡充
- 安心
・子育て満足度日本一の実現
・多様な主体による地域社会の再構築
・強靱な県土づくり
・移住・定住の促進 - 活力
・農林水産業の振興
・商工業の振興
・観光産業の振興
・女性の活躍推進 - 発展
・「教育県大分」の創造
・芸術文化による創造県おおいたの推進
・スポーツの振興
・交通ネットワークの充実
3.計画期間 - 2015年度~2024年度までの10年間。
これに対し、大分損保会では、損保業界として、地域における安全・安心を推進する観点から
「2.取組の方向と具体的な施策」について以下のとおり意見表明を行っています。
意 見
【安心】
5.安全・安心を実感できる暮らしの確立
(2)人にやさしい安全で安心な交通社会の実現 について
近年、高齢ドライバーによる事故が社会的に問題視されており、免許返納数が年々増加しているが、都市部以外では、公共交通機関の路線縮小等もあり、免許返納を行うと生活が困難となるのが現状である。免許返納が難しい場合、サポカーへの乗り換えや踏み間違い防止装置の設置が事故防止につながると考えており、これらの普及のため、意見するもの。
なお、政府が緊急経済対策で1,127億円にのぼる補助を閣議決定したこと等を踏まえ、大分県として高齢者事故防止策の面だけでなく、高齢者生活支援策としても実施いただきたい。
(2)3.交通環境の整備 について
事故が多発している交差点について、道路や信号機の改良等、事故減に向けた取組みを積極的に検討・実施願いたい。また、あわせて歩行者と自転車が分離された通行空間である自転車道等の整備の拡充についても実施願いたい。
4.交通事故被害者等支援の充実 について
近年の自転車事故事例では1億円近い高額賠償請求事案が発生しており、万一の備えとして自転車損害賠償保険への加入促進は不可欠だと考える。条例等による自転車損害賠償保険への加入等の促進について検討願いたい。
条例等の策定にあたり、保険加入義務を明記する等、一定以上の強制力を発揮する方針設定が必要と感じている。被害者支援の観点からも、自転車損害賠償保険制度の設立および加入義務化について検討願いたい。
8.強靭な県土づくりと危機管理体制の充実
(1)2.土砂災害対策の推進 について
安心安全な暮らしのためには、居住地が安全な場所であることも必要であると考える。
大分県内では、土砂災害警戒区域が15,670箇所(土砂災害特別警戒区域14,454箇所)指定されている。
県は、土砂災害警戒区域の指定や土砂災害ハザードマップによる警戒避難体制の整備等に加え、「土砂災害避難促進アクションプログラム」等を通じて避難啓発・行動確保の取組みを実施している。これに加えて、事前の対策として、国の補助制度である「がけ地近接等危険住宅移転事業」について、市町村に利用を促し、県としても補助を行うこと等により活性化させること通じて、居住不適地域からの移転支援を強化してはどうか。ついては、同事業実施市町村の拡大に資する施策の実施、利用を促進するための制度の充実について検討願いたい。
(1)3.地震・津波対策の推進
東日本大震災以降、日本周辺における地震・噴火等のリスクは高まっていると認識している。本県周辺でも地震・噴火が頻発している状況にある。
公助で全てに対応することには限界があり、地域住民の地震災害への経済的な備え・自助努力を促す意味でも、「地震保険に関する法律」に基づき地震災害への経済的な備えとして官民共同で運営されている地震保険について、風水害等対策編、「大分県地震・津波防災アクションプラン」における記載だけでなく、地震災害対策編の地域防災計画にも明記し、自治体・地域における防災計画への落とし込み促進も含めて加入促進にご協力願いたい。
(2)1.災害応急対応対策の強化や被災者対応の充実 について
総務省消防庁によると、全国の市区町村が災害対策基本法に基づき住民に避難の勧告や指示を出した回数は、2017年度は915回(2013年度は417回)であり、増加傾向にある。
「被災者に寄り添った支援の充実」といった取り組み内容があるが、これらにより実行力を持たせるため、災害時の避難所開設費用等を補償する保険への県下自治体の一律加入の働きかけ、また、併せて、県による自治体の保険加入への費用的支援についても検討願いたい。
当支部では、今後も行政や関係機関と協力し、地域における安全・安心に資する取り組みを継続して推進していきます