佐賀県自転車活用推進計画(素案)に意見表明
2020.08.11
~自転車事故被害者救済等の観点から賠償責任保険の加入義務化を佐賀県に要望~
一般社団法人日本損害保険協会九州支部佐賀損保会(会長:江里口 和雅・東京海上日動火災保険株式会社 佐賀支店長)では、佐賀県が7月7日(火)~7月31日(金)の間に実施した「佐賀県自転車活用推進計画 (素案)」に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、江里口 佐賀損保会会長名 で意見表明を行いました。
今回、佐賀県は、自転車活用推進法第10条に基づき、政府が閣議決定した「自転車活用推進計画」を勘案し、自転車活用の有用性などを広く県民の暮らしに浸透させ自転車文化が地域に根付いていくよう、佐賀県の実情に応じた自転車の活用の推進に関する施策を定める「佐賀県自転車活用推進計画」を自転車活用推進法第10条に基づき策定するため、パブコメに付したものです。
≪佐賀県自転車活用推進計画 (素案)の概要≫
- 1.策定趣旨 -
自転車活用の有用性などを広く県民の暮らしの中で浸透させ、自転車文化が地域に根付いていくよう、自転車の活用を総合的かつ計画的に推進するための計画を策定する - 2.計画の位置付け -
本計画は自転車活用推進法第10条に定められた法定計画であり、佐賀県総合計画2019に基づく「歩くライフスタイル推進プロジェクト」の一環として策定するもの - 3.計画の期間 -
長期的な展望を視野に入れつつ、令和2年度(2020年度)から令和4年度(2022年度)の3年間を計画期間(第1期)とする
※計画期間(第1期)の終期は佐賀県総合計画2019と同一とする - 4.計画の各施策 -
【“交流”の促進を図る自転車施策】
施策1 サイクルツーリズムのモデルルート設定
施策2 サイクルスポーツの振興
施策3 WEBや雑誌による情報発信
施策4 佐賀の魅力を向上させる自転車関連施設の整備
【“暮らし”の変容を図る自転車施策】
施策5 自転車の魅力を伝えるためのイベントや仕掛けづくり
施策6 WEBや雑誌による情報発信(施策③の再掲)
施策7 自転車の安全教育・マナーアップ啓発の推進
施策8 自転車保険の加入促進PR
【“インフラ”の充実を図る自転車施策】
施策9 一般県道 佐賀環状自転車道の整備・活用
施策10 サイクリストの受け入れ環境整備
施策11 佐賀県内市町への自転車活用推進計画の策定支援
施策12 自転車通行空間の整備促進を図るための法令等整備
これに対し、佐賀損保会では、当協会として、地域における安全・安心を推進する観点から、長らく学校教育活動の中で中学生・高校生を対象に交通安全講話等を通じて交通事故防止活動に取り組んできたことや、自転車シミュレータや高規格救急車等の機材を寄贈し、直接的に地域の安全・安心に貢献する活動を行ってきたこと、また自転車関連事故の被害者救済の観点から、以下2点の意見表明を行っています。
≪意見内容≫
- 施策7 自転車の安全教育・マナーアップ啓発の推進 について
全交通事故の中で自転車関連事故が10%程度を占めている現状や自転車の利活用を進めることを踏まえると、当協会としても自転車利用者の交通安全意識を向上させるための取組み強化の必要性を感じており、自転車安全利用の啓発推進に賛同いたします。
当協会では、「自転車シミュレータ」を自転車安全利用の実践的な教材として、(公財)佐賀県交通安全協会をはじめ全国の交通安全協会に寄贈するなど啓発に役立てていただいており、同啓発機材の活用拡大は有効な交通安全意識向上の手段と考えております。
また、自転車は児童・生徒の主な交通手段であることから、当協会においても、特に学校現場で活用いただける自転車事故の防止に向けた啓発冊子の作成や学校教育現場等での自転車利用に関するルールの周知などの講演等を行っており、県・県警・教育委員会等とともに啓発活動に協力させていただきたいと考えております。
- 施策8 自転車保険の加入促進PR について
素案において「加入促進PR」との記載がありますが、条例に保険加入義務を明記する等、自転車にまつわるリスク低減を図りつつ、自転車利用者や歩行者等の理解を得ながら、自転車の利活用を進めることが、佐賀県における自転車文化を根付かせる近道と感じております。
また、素案内P.18では、自転車関連事故の第1当事者のうち経済的資力が乏しいと考えられる24歳以下の若年層が過半数を占めているとの記載があり、P.20を見ると自転車保険に確実に加入しているのは約3割の方にとどまっています。この状況を鑑みると、自転車保険未加入で自転車利用者が第1当事者となった場合、被害者救済もままならないばかりか、加害者の人生も極めて不安定なものとなりかねません。特に、被害者救済のためには保険へ加入したほうがよいと思われ、加入義務化したことで加入率が上がったとのデータ(※)もあります。
つきましては、条例等の策定にあたっては、全国の自治体で自転車保険の加入を条例で義務化する地域が増えている(九州内では既に福岡県(10月から)・鹿児島県が「加入義務」、熊本県が「加入努力義務」を条例化しており、宮崎県が「加入義務」に向けた検討を開始している)ことからも、加入促進PRにとどまらず、加入義務化のご検討をお願いします。
佐賀損保会では、今後も行政や関係機関と協力し、交通事故防止に資する取り組みを継続して推進していきます。