「第2期熊本県まち・ひと・しごと創生総合戦略」(素案)に意見表明
2021.02.11
~防災減災や災害便乗詐欺抑止などへの取組みを要望~
一般社団法人日本損害保険協会九州支部熊本損保会(会長:西村 拓浩・東京海上日動火災保険株式会社 理事・熊本支店長)では、熊本県が2020年12月25日(金)~2021年1月23日(土)の間に実施した「第2期熊本県まち・ひと・しごと創生総合戦略」(素案)に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、西村 熊本損保会会長名で意見表明を行いました。
≪「第2期熊本県まち・ひと・しごと創生総合戦略」(素案)の概要≫
- 1.基本理念 -
熊本地震と令和2年7月豪雨からの創造的復興を両輪に、新型コロナウイルス感染症による社会の変容を見据え、「新しいくまもと」を創造する。 - 2.基本方針 -
1)令和2年7月豪雨からの創造的復興
2)新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応
3)熊本地震からの創造的復興
4)将来に向けた地方創生の取組み - 3.総合戦略 -
1)
施策1)
・被災者・被災地域の1日も早い復旧・復興に向けた取組み
施策2)
・国土強靱化に向けた取組み(道路、河川等の整備・強靱化、地域防災力向上、企業等BCP等策定促進)
・幹線道路の整備
2)
施策1)
・感染拡大防止対策及び相談
・検査体制等の確保
・持続的な医療福祉サービス提供等に向けた体制確保
施策2)
・生活への支援、子供の居場所の確保、差別・犯罪の防止・Society5.0の実現に向けたDXの推進・熊本への人の流れの創出(関係人口、移住定住)
施策3)
・企業や雇用の維持及び労働環境の整備(テレワーク、UIJターン、多様な人材)
・新しいビジネスの創出(業態転換、事業承継、熊本型企業誘致)
・農林水産業の持続的発展(スマート化、担い手確保、ブランド力向上・販路開拓)
・新たな観光スタイルの確立(顔認証やMaaS等スマートツーリズム、ワーケーション等)
3)
施策1)
・「すまい」の再建、被災企業の事業再建
施策2)
・益城町の復興まちづくり(土地区画整理事業、県道熊本高森線4車線化)
・くまもとの誇りの回復と宝の継承(熊本城、震災ミュージアム)・阿蘇地域の振興(アクセスルート全線開通効果の最大化、南阿蘇村立野・黒川)
・「大空港構想」の実現(魅力ある空港づくり、空港アクセス、UXプロジェクト推進)
4)
施策1)
・きめ細かな教育による学力の向上、グローバル人材の育成、魅力ある学校づくり
施策2)
・若者の地元定着(ブライト企業、奨学金返還等サポート)
・産業人材の確保・育成(農林水産業、医療・介護、建設産業等)
施策3)
・子供を安心して産み、育てられる環境整備・誰もが安心して暮らせる地域づくり・一人ひとりが尊重され自分らしく暮らせる社会の創造
施策4)
・交通体系の最適化・持続可能な地域づくり・スポーツによる地域活性化(交通渋滞解消、CO2排出実質ゼロ、海洋プラスチックごみゼロ、有明海・八代海の海域環境改善) - 4.期間 - 令和5年度(2023年度)まで
これに対し、熊本損保会では、地域における安全・安心を推進する観点等から、以下5点の意見表明を行っています。
≪意見内容≫
熊本地震と令和2年7月豪雨からの創造的復興を両輪に、新型コロナウイルス感染症による社会の変容を見据え、「新しいくまもと」を創造する基本理念に基づき策定された当該戦略は、政府総合戦略の「大規模自然災害の被災地における地域課題の解決に向けた取組を推進する」とも整合しており、概ね賛同しますが、次の事項につき意見を申し上げます。
第5章 地方創生の実現に向けた取組み
- 1.令和2年7月豪雨からの創造的復興
施策1 被災者・被災地域の1日も早い復旧・復興に向けた取組み
1.すまい・コミュニティの創造
施策2 県下全域で取り組む災害に強い郷土づくり
2.国土強靱化に向けた取組み
地域経済の活性化のためには、人々が安心して住み続けられるまちづくりが必要であり、政府総合戦略に記載されておりますとおり、近年の自然災害を踏まえ災害発生のおそれのある区域への住宅等の立地の抑制は重要であると考えております。
熊本県内では、土砂災害警戒区域が土石流に係るもので4,521箇所(土砂災害特別警戒区域3,441箇所)、急傾斜に係るもので16,633 (同16,363箇所)、地すべりに係るもので114箇所(同0箇所)の計21,268箇所(同19,804箇所)が指定されております(全国治水砂防協会ホームページ掲載「土砂災害防止法関連データ」2020(令和2)年6月30日現在より引用)。本県のこれまでの被災経験を活かし、「ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる」ため、「がけ地近接等危険住宅移転事業」および「土砂災害危険住宅移転促進事業」の積極的な活用推進や更なる制度の充実について検討願います。
また、素案内にあります「災害予防・応急対策等に関するアドバイザー」や「あらゆる災害に備え、自助・共助のために主体的に行動できる児童生徒」を育成していくにあたっては、当協会で行っている講演会活動や防災教育副教材などでご協力したいと考えております。
第5章2施策2「1.生活への支援、子供の居場所の確保、差別・犯罪の防止」において「新型コロナウイルス感染症に乗じた「電話で「お金」詐欺」等の消費者被害への取組推進」が掲げられていますが、第1章1施策1においても、大規模災害に乗じて被災した建物の修繕に関連する業者が消費者関連法に抵触しかねない営業行為を行っていることで消費者被害が発生しており、こちらへの対応についても取組みに追加願います。 - 3.熊本地震からの創造的復興
施策1 くらし・生活の再建
1.「すまい」の再建
熊本地震からの創造的な復興のためには、県独自の6つの支援策とともに被災者自身の自助努力が重要であり、また、すまいの再建を促進するにあたっては費用面の問題も大きく公助で対応することには限界があると考えており、これらへの対応として、政府においても普及を図っている地震保険はその一手法と考えております。
つきましては、県の地域防災計画内で、事前の備えの一つとして地震保険を明記いただいておりますが、本素案内でも地域住民の地震災害への経済的な備えとして地震保険を浸透させるための取組みを追加するともに、地震保険の世帯加入率等を重要業績評価指標に含めることを検討願います。 - 4.将来に向けた地方創生の取組み
施策3 安全・安心な社会の実現
2.子供からお年寄りまで、誰もが安心して暮らせる地域づくり
素案内にある「高齢運転者による深刻な交通事故を防止するための安全運転支援装置や、安全運転の推進と無謀運転の抑制につながるドライブレコーダーの機器設置の支援」について賛同いたします。なお、より具体的な普及を図るべく機器設置状況を重要業績評価指標への追加を検討願います。
熊本損保会では、今後も行政や関係機関と協力し、地域における安全・安心に資する取り組みを継続して推進していきます。