「第11次宮崎県交通安全計画(案)」に意見表明
2021.03.24
~被害者支援の充実などを要望~
一般社団法人日本損害保険協会九州支部宮崎損保会(会長:平澤 宏基・東京海上日動火災保険株式会社 宮崎支店長)では、宮崎県が2021年3月1日(月)~3月30日(火)の間に実施している「第11次宮崎県交通安全計画(案)」に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、平澤 宮崎損保会会長名で意見表明を行いました。
今回の計画は、交通安全対策基本法第25条において、都道府県が国の交通安全基本計画に基づき交通安全に関する総合的な施策等を定める計画を作成することが義務付けられていることから、国の第11次交通安全基本計画に基づき策定されるもので、概要は以下のとおりです。
≪「第11次宮崎県交通安全計画(案)」の概要≫
- 1.基本理念 -
「人優先」の交通安全思想を基本とし、高齢化が進展しても安全に移動できる社会の構築のため、交通事故を構成する三要素(人・交通機関・交通環境)に対する各種施策の推進、先端技術の積極的活用、救助・救急活動及び被害者支援の充実などにより、交通事故のない社会を目指す。 - 2.目標及び講ずべき施策の体系 - 令和7年までの交通事故による死者数等の抑止目標を設定するとともに、講ずべき対策を示す。
(1)道路交通の安全
目標:年間の「24時間死者数31人以下」、「人身事故発生件数5,200件以下」
視点:高齢者及び子供の安全確保、歩行者及び自転車の安全確保、生活道路における安全確保、先端技術の活用推進、交通実態等を踏まえたきめ細かな対策の推進、地域が一体となった交通安全対策の推進
講ずべき施策:1.道路交通環境の整備、2.交通安全思想の普及徹底、3.安全運転の確保、4.車両の安全性の確保、5.道路交通秩序の維持、6.救助・救急活動の充実、7.被害者支援の充実と推進 等
(2)鉄道及び踏切道における交通の安全
目標:乗客の死者数ゼロの継続と運転事故全体の死者数減少を目指す、踏切事故の発生を防止する
視点:重大な列車事故の未然防止、それぞれの踏切の状況等を勘案した効果的な対策の推進
講ずべき施策:1.鉄道交通環境の整備、2.鉄道交通の安全に関する知識の普及、3.踏切保安設備の整備及び交通規制の実施 等 - 3.計画期間 - 令和3年度から令和7年度までの5年間
これに対し、宮崎損保会では、地域における安全・安心を推進する観点等から、以下7点の意見表明を行っています。
≪意見内容≫
- 第3節 、Ⅰ 、(2)歩行者及び自転車の安全確保 (P.12)
「自転車損害賠償責任保険等への加入促進等の対策を推進します。」の文言について、「宮崎県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」では同保険の加入が義務付けられていることから、「自転車損害賠償責任保険等への加入義務の徹底を図ります。」など、県民により適切な県のメッセージが伝わる表現にしたほうがよいと考えます。 - 第3節 、Ⅱ 、1 、(3)、 ア 、 (ア) (P.18)
当協会では、毎年秋に、県別の事故多発交差点マップ(人身事故の多い交差点のマップ)を公表しており、事故危険箇所の指定において参考にしていただければ幸いです。 - 第3節 、Ⅱ 、2 、(2)段階的かつ体系的な交通安全教育の推進 (P.32~33)
生涯学習として成長過程にあわせた交通安全教育を推進することについて、賛同いたします。
なお、特に小学生、中学生、高校生においては移動手段として自転車を利用するケースが多いため、自転車事故を未然防ぐための自転車等の交通安全教育が第一義と考えますが、自転車事故の加害者となった際には、極めて重大な責任を負う可能性もあることとから、その責任への対処法等についても教育することは、第3節Ⅱの施策「7被害者支援の充実と推進」の観点からも重要と考えます - 第3節 、Ⅱ 、7.被害者支援の充実と推進 (P.63)
損害賠償保険等への加入に関する関係事業者の協力について、損害保険業界および損害保険協会として協力したいと考えております。 - 第3節 、Ⅱ 、7 、(1)自動車損害賠償保障制度の充実 (P.63)
「自動車損害賠償保障制度」は国土交通省が運用する制度としてありますが、記載されている内容は同制度に直接関係することではなく「自動車事故被害者の救済資力の充実等」と思われる記載になっているので、タイトルを変更してはいかがでしょうか。 - 第3節 、Ⅱ 、7 、(1)、イ 任意の自動車保険(自動車共済)の充実等 (P.63)
当該文末に「被害者救済等の充実に資するよう、引き続き指導を行います。」との記載がありますが、指導主体が明らかではなく、具体的対応が判然としません。「県として、その必要性の周知をはかり、任意自動車保険等の普及に努めてまいります。」といった記載にしてはいかがでしょうか。 - 第3節 、Ⅱ 、7 、(1)、ウ 不正請求に対する連携 (P.63)
善意契約を前提する保険取引において、残念ながら保険金不正請求が発生している状況です。損害保険業界では防犯対策協議会を組織し、宮崎県警にも協力をいただき、不正請求防止に努めておりますので、引き続き県・県警との連携・協力をお願いいたします。
宮崎損保会では、今後も行政や関係機関と協力し、地域における安全・安心に資する取り組みを継続的に推進していきます。