「佐賀県交通安全の確保に関する条例の一部改正(案)」に意見表明
2021.03.24
~被害者支援の充実や交通安全教育の推進などを要望~
一般社団法人日本損害保険協会九州支部佐賀損保会(会長:江里口 和雅・東京海上日動火災保険株式会社 佐賀支店長)では、佐賀県が2021年3月5日(金)~4月5日(月)の間に実施している「佐賀県交通安全の確保に関する条例の一部改正(案)」に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、江里口 佐賀損保会会長名で意見表明を行いました。
今回の改正は、国の第11次交通安全基本計画の内容に沿い、県の「歩くライフスタイル」、「自転車活用推進計画」を考慮し、県内の交通情勢にあった形に見直すもので、概要は以下のとおりです。
≪「佐賀県交通安全の確保に関する条例の一部改正(案)」の概要≫
- 1.主な改正内容 -
・県民の責務として、交通事故ゼロを自らの課題として意識して行動することを定める。
・自動車運転者等の責務として、歩行者保護の意識を徹底することを定める。
・自転車利用者の責務として、自転車乗車中の携帯電話使用禁止等の禁止行為を明記するとともに、自転車損害賠償責任保険等への加入の努力義務等について定める。
・歩行者の責務として、歩きスマホの禁止、反射材の着用等、歩行者の交通ルール遵守に関することを定める。
・その他所要の改正を実施。 - 2.今後のスケジュール -
・パブリックコメント(令和3年3月中)
・県議会への条例案提出(令和3年6月定例議会)
これに対し、佐賀損保会では、地域における安全・安心を推進する観点等から、以下4点の意見表明を行っています。
≪意見内容≫
- 第5条(自動車の運転者等の責務)について
歩行者保護の徹底を追記することは佐賀県における交通事故の実態を踏まえた改定であると考えており、賛同いたします。
なお、現行第5条第3項においては、自動車に限定して事業者に対する必要措置を規定しておりますが、原動機付自転車はもちろん、コロナ禍のなか自転車利用が増えていることも踏まえ、同項および改正第6条の自転車関連条文において、原動機付自転車および自転車にかかる同様の規定を設けるべきと考えます。 - 改正第6条の2(自転車損害賠償責任保険等への加入)について
佐賀県自転車活用推進計画策定時資料にもあるように、自転車関連事故の第1当事者のうち経済的資力が乏しいと考えられる24歳以下の若年層が過半数を占めていることや、アンケート回答者の55%が自転車を使用しているなかで自転車損害賠償責任保険への加入が約30%にとどまっていることを考えると、重大な自転車事故が発生すると被害者が十分に救済されないことが想定されます。
「歩くライフスタイル」を推進するのであれば、交通事故を未然に防ぐ対策はもちろん、不幸にも事故にあった場合であっても十分な救済を受けることができる環境整備も必要と考えます。佐賀県では自転車賠償責任保険の加入率がアンケート回答者の約30%ということを踏まえると、急速に加入を引き上げる必要があるものと考えられ、国土交通省の資料によると加入義務化により加入率が引き上げられるとの効果があることからも、改正第6条の2の自転車損害賠償責任保険等の「加入努力義務」については「加入義務」とすべきと考えます。 - 改正第6条の3(自転車損害賠償責任保険等の情報提供)について
情報提供義務については、自転車小売業者はもちろんのこと、少なくとも自転車通勤・通学を行う事業者や学校についても義務付けるべきと考えます。 - 第7条(交通安全教育の推進)について
交通安全教育のうち自転車利用にかかる教育について、自転車事故を未然防ぐための教育が第一と考えますが、自転車事故の加害者となった際に極めて重大な責任を負う可能性がより顕在化していることから、交通安全教育指針(国家公安委員会告示第十五号)による「交通事故を起こすと民事上、刑事上及び行政上の責任を負わなければならないことを理解させる」を超え、少なくとも中学生以上には被害者救済の観点からも民事上の責任への対処法について教育すべきと考えます。
佐賀損保会では、今後も行政や関係機関と協力し、地域における安全・安心に資する取り組みを継続的に推進していきます。