宮崎県住生活基本計画(改定素案)に対する意見表明
2022.03.03
~「災害への備え」に関する要望および賛同の意を表明~
一般社団法人日本損害保険協会九州支部宮崎損保会(会長:山田 契一 三井住友海上火災保険(株)宮崎支店長)では、2021年12月9日に公表された「宮崎県住生活基本計画(改定素案)」のパブリック・コメント(意見募集)に対し、宮崎損保会として2021年12月29日付けで意見表明を行いました。
当該計画は、住生活基本法第 17 条に基づく、宮崎県における県民の住生活の安定の確保及び向上の促進に関する基本的な計画として位置づけるものです。また、本県の総合計画である「未来みやざき創造プラン」(令和元年6月改定)において「くらし」分野の目指す将来像としている「安全・安心で心ゆたかに暮らせる社会」の実現を図ることを目的としています。
本計画では、国が令和3年3月に定めた「住生活基本計画(全国計画)」を踏まえ、「社会環境の変化」、「居住者・コミュニティ」、「住宅ストック・産業」という3つの視点から、令和の新しい時代における住宅施策を総合的かつ計画的に推進し、住生活の安定向上を実現するための基本的な施策を定めています。
宮崎損保会では、「視点1:社会環境の変化」内の「目標2:災害への備え」に関する施策に関して、以下の5点について意見表明をしております。
《主な意見内容》
1.第3章 3.2本計画における目標 3.2.1「社会環境の変化」からの視点(2) 目標2 災害への備え
九州地区では4年連続で災害救助法が適用されるような災害が続いており、頻発・激甚化する災害に対する安全な住宅・住宅地の形成および被災者の住まいの確保に向けた当該目標設定に賛同いたします。
2.第4章 1.2目標2 災害への備え 1.2.1施策2災害に強い住まい・まちづくりの推進
宮崎県の「(1)住宅の耐震診断・耐震改修の促進」、「(2)優れた耐震性能が確保された住宅の供給促進」および「(3)住宅及び宅地の安全・安心を高める基盤整備」等に賛同いたします。
なお、県の想定によると南海トラフ巨大地震発生後、10mを超える津波が宮崎県沿岸部を襲い(最大津波高17m、最短津波到達時間14分)、その結果広範囲の浸水地域が想定されています。計画では「災害から住宅・宅地を守る基盤整備」の記載が見受けられますが、令和3年3月19日付「住生活基本計画」に記載のあるような「避難計画に基づく避難体制や避難設備の整備、避難場所の確保と連携した盛土等による住宅・住宅地の浸水対策の推進」など、より踏み込んだ津波対策を検討いただきたい。
3.第4章 1.2目標2 災害への備え 1.2.1 施策2 災害に強い住まい・まちづくりの推進
当県では過去に我が国観測史上1位の記録となる最大瞬間風速57.9m/s(1993年台風13号)を観測するなど、台風等による風害の危険性は他地域に比べて高いものと考えております。風水害など自然災害等から居住者の安全を確保するため、「住生活基本計画」にも記載されているように住宅の改修による耐風性等の向上に資する具体的な施策をご検討いただきたい。
4.第4章 1.2 目標2 災害への備え 1.2.1 施策2 災害に強い住まい・まちづくりの推進
災害に強い住まい・まちづくりの推進ハザードマップの周知等および広く県民に対して、風水害に強い住まいづくりに関する情報を提供することに関し賛同いたします。
5.第4章 1.2 目標2 災害への備え 1.2.2 施策3 被災者の居住安定のための支援
宮崎県の「(1)被災者の居住安定の確保」および「(3)恒久的な住まいの確保に向けた被災者に寄り添った支援の実施」等に賛同いたします。
なお、令和2年7月に内閣府の「被災者生活再建支援制度の在り方に関する実務者会議」検討結果報告においては「自然災害からの住宅再建等の生活再建についても『自助』による取組が基本であり、被災者生活再建支援金等の『公助』は、この取組を側面的に支援するものである。」と報告しております。宮崎県が(1)において「自ら資力で住宅を確保できない被災者に対して、応急的な住宅を提供」することは適当な施策であると考えておりますが、公助の制度周知とともに、県民に対する資力の確保の促進を図る施策も同時に行うべきと思慮いたします。