「大分県耐震改修促進計画(第2期中間見直し)」に対する意見表明
2022.03.03
~建築物の耐震化および減災対策への対応に関する要望および賛同の意を表明~
一般社団法人日本損害保険協会九州支部大分損保会(会長:安並 明洋 三井住友海上火災保険(株)大分支店長)では、2022年1月17日付に公表された「大分県耐震改修促進計画(第2期中間見直し)」のパブリック・コメント(意見募集)に対し、大分損保会として2022年2月9日付で意見表明を行いました。
当該計画は、地震による建築物の倒壊等の被害から県民の生命、身体及び財産を保護するため、既存建築物の耐震診断及び耐震改修を、県、市町村及び建築関係団体等が連携して、総合的かつ計画的に促進するための枠組みを定めることを目的としています。
本計画は、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」第5条第1項の規定に基づき作成するものであり、今回の見直しは、令和2年度に計画の中間期を迎えたことから、令和2年度の目標に対する実績を検証することで、耐震化の促進に係る課題を整理し、令和7年度に向けて、施策及び取組みの内容等の強化を図るものです。
本計画は5章で構成されており、第2~4章に関し、耐震化および減災対策等について、以下5点の意見表明をしております。
《主な意見内容》
1.第2章 耐震化の目標 2.(3)目標の設定①住宅の耐震化
「住宅の耐震化の目標」については、令和2年度末時点の目標が82%に対して、平成30年度実績で84%に達しており、県が進めてきた施策の輝かしい成果であると考えます。
その一方で、次期令和7年度の目標(92%)は、特定構築物(97%)と比較しても低い目標となっております。時期目標については、次の観点からも92%よりも高水準の数値を提示し、県として県民の生命、身体及び財産を保護する積極的な姿勢を示していただければと考えます。
①当計画P39~40に掲載されている「大分県地震被害想定調査(平成31年3月公表)」にある
ように、耐震化率100%である場合、南海トラフ巨大地震に対して全壊棟数が77%も減少する
との県推計もあること(科学的に絶大な効果があることが推定されている)
②「国の基本方針」において「平成37年までに耐震性が不十分な住宅を、(中略)おおむね解
消することを目標とする。」としていること
なお、耐震化率100%を実施したとしても全壊する建物が発生してしまうことや、「大分県地震被災想定調査(平成31年3月公表)」によると、南海トラフ巨大地震では先の「揺れによる建物被害」のほか、「液状化による建物被害」2,244棟、「津波による建物被害(津波が乗り越えたら破堤する場合)」23,707棟の住宅が全壊するとされていることから、当該リスクを県民に周知するとともに、その対策として地盤改良や防波堤の強靭化を行うこと、ならびに被災住宅の早期復旧の一助となる国と民間保険会社が共同で運営する地震保険の普及を図るべきと考えます。
2.第3章 耐震診断及び耐震改修を促進するための施策2(1)住宅の耐震化の促進
県において住宅における地震対策は、県民の生命、身体及び財産に関わる重大かつ喫緊の課題であり当計画期間においても耐震化率の伸び率を維持・増進すべきものと考えます。
つきましては、当計画P4で県指摘のとおり「耐震化の伸び率を維持するためには、補助制度の拡充や相談体制の強化を行い、更なる耐震化の促進を図る必要がある」と考えますので、現行制度の拡充・強化をご検討願います。
3.第3章 耐震診断及び耐震改修を促進するための施策3 3-1(4)平成12年5月以前に着工した住宅の耐震化の推進
平成28年熊本地震の実態では、新耐震基準を充足した住宅であっても、残念ながら住宅が損壊している実態を踏まえ、県が新耐震基準に拘らず、より積極的な耐震化の施策を推進することに賛同いたします。
4.第3章 耐震診断及び耐震改修を促進するための施策3 3-3 建築物に付属するブロック塀の安全性確保
令和4年1月22日に発生した日向灘を震源とする地震(最大震度5強)においても、佐伯市・竹田市においてブロック塀が倒壊しており、県民の生命、身体を守るためにも県の推進される施策に賛同いたします。
5.第4章 建築物に係る被害等の減災対策 8.住宅屋根の耐風対策の普及・啓発
地震の揺れ等による屋根瓦の落下防止の観点からも瓦屋根の強靭化は重要であると考えるとともに、頻発・激甚化する台風等に備える観点からも、県の指摘する「住宅の所有者等への屋根瓦の耐風診断及び耐風改修工事の情報提供を行う。」施策に全面的に賛同いたします。
なお、今般、県においても「無料で屋根瓦を点検する」と言って、特定商取引法に反する契約手法により高額な手数料を収受する一部悪徳業者が活動しており、当協会では大分県と大分県警とともに周知活動を行っているところです。つきましては、当該施策が悪徳業者に利用されないように、ご留意いただくとともに、悪徳業者に対しては厳正な措置を講じていただきたくお願い申し上げます。