「宮崎県建築物耐震改修促進計画(改定素案)」に対する意見表明
2022.04.27
~建築物の耐震化の一層の促進と復旧・復興期の自助醸成を求める~
一般社団法人日本損害保険協会九州支部宮崎損保会(会長:赤羽 千恵美 三井住友海上火災保険(株)宮崎支店長)では、2022年3月30日付で公表された「宮崎県建築物耐震改修促進計画(改定素案)」の意見募集に対し、宮崎損保会として4月25日付で意見表明を行いました。
当該計画は、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」において、都道府県は国の「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針」に基づき、耐震診断及び耐震改修の促進を図るための計画を定めることとされています。
近年、南海トラフ巨大地震の発生の切迫性が指摘され、宮崎県でも甚大な被害が想定されているなか、過去の大地震の教訓を踏まえ、大地震はいつどこで発生してもおかしくない状況にあることから、県内の建築物の耐震診断及び耐震改修の一層促進を図るため、今般計画の一部を改定するものとされております。
本計画は5章で構成されており、当会では耐震化および減災対策等について、以下4点の意見表明をしております。
《主な意見内容》
第1章 建築物の耐震化の実施に関する目標設定
2.耐震化の現状と目標設定(1)住宅
計画中の「はじめに」に記載されている「南海トラフ巨大地震の発生の切迫性が指摘され、(中略)、促進計画の一部を改正する。」との本計画の改正の必要性に関する県の認識に賛同いたします。住宅の耐震化率について、令和2年度末までの目標の90%を達成できなかったことは残念と考えており、耐震化率の向上につき、県として周知・啓発にとどまらず、積極的に推進いただきたいと考えております。
なお、住宅の耐震化率の目標値については、本計画でも言及されているとおり、国の基本方針では「住宅の耐震化率について令和12年までに耐震性が不十分な住宅を概ね解消すること」とされているほか、国中央防災会議の設定している「南海トラフ地震防災対策推進基本計画(令和元年5月31日)」では、国の基本方針よりも高い基準を設定しております。また、他県の計画と比べても、現行目標値は保守的な数値と思われます。県として地震による建築物の倒壊等の被害から県民の生命、身体及び財産を保護するという観点から、住宅の耐震化率の目標値については再考いただきたい。
第2章 建築物の耐震診断、耐震改修設計及び耐震改修工事の促進を図るための施策
3.地震時の総合的な安全対策を図るための取組(1)建築物等における被害の防止対策
2022年1月に発生した日向灘の地震(マグニチュード6.6)においても、ブロック塀の倒壊や窓ガラスや屋根瓦の落下の様子が報道されており、ブロック塀の倒壊防止、窓ガラスや屋根瓦の落下防止等について、前回計画に比して法律に基づく報告義務等など実行性を伴う指導強化を図ることにつき、賛同いたします。
第3章 建築物の地震に対する安全性の向上に関する啓発及び知識の普及に関する事項
5.リフォームにあわせた耐震改修工事の誘導
リフォームにあわせた耐震改修工事を、普及・啓発を図ることについて、賛同いたします。
なお、国の基本方針において「悪質なリフォーム工事詐欺による被害が社会問題となっており、住宅・建築物の所有者が安心して耐震診断及び耐震改修を実施できる環境整備が重要な課題となっている。」と指摘のうえ、「地方自治体は、耐震診断及び耐震改修に関する窓口を設置し、所有者等の個別の事情に応じた助言を行う」との記載があることから、普及・啓発とともに、悪質リフォーム業者を排除するように県には態勢整備もお願いしたい。
その他 地震保険の加入促進
当該計画は、耐震改修促進法に基づき「地震による建築物の倒壊等の被害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、建築物の耐震改修の促進のための措置を講ずることにより建築物の地震に対する安全性の向上を図る」ために作成される計画であることは承知しておりますが、建築物の耐震化により、倒壊等を逓減できたとしても、損傷をなくすことは不可能と考えております。
また、震災後においても住み慣れた地域で、速やかに住宅を復旧・復興することは重要と考えております。当会が調べたところでは、2桁を超す県の耐震改修促進計画において、地震保険の加入促進等に関する記載が見受けられます。是非、宮崎県においても国と民間保険会社が共同で運営する地震保険の普及に関する記載を追加願いたい。
なお、県の地震保険の普及活動については、微力ではありますが、当会としても協力いたします。