マニラでISJ海外セミナーを開催
~自動車保険の引受け・支払い適正化、東日本大震災への対応等の日本の経験を紹介~

 日本損害保険協会(会長:鈴木 久仁)は、9月8日(火)と9日(水)にフィリピンのマニラで、公益財団法人 損害保険事業総合研究所(損保総研)と共催で、「保険市場の持続的発展を目指して」(Achieving Sustainable Development of the Insurance Market)をテーマにISJ(日本国際保険学校)海外セミナーを開催しました。

 開講式では当協会の深田 一政 常務理事が開講挨拶を行い、「自動車保険、自然災害への対応といった重要なテーマについて両国の保険専門家間で活発な論議が行われることを楽しみにしている」、「このセミナーがフィリピン損保業界のより健全で持続的な発展につながる解決策を見つけるきっかけとなることを望んでいる」とセミナーへの期待を述べました。

 また、在フィリピン日本国大使館の内田 浩行・経済公使、フィリピン財務省・保険庁のエマニュエル・ドゥーク(Emmanuel F. Dooc)長官他からの挨拶がありました。ドゥーク長官からは、今回のセミナー開催に対する謝意や、日本の損保業界が1970年代からISJを通してアジアの損保業界の発展に貢献していることに対する敬意が表されました。

 閉会式では損保総研の遠藤 寛理事長が「フィリピンはISJ創設時以来の重要な参加メンバーである。我々がフィリピン損保市場の健全な発展に貢献することができれば、大変うれしく思う。」と挨拶しました。

セミナー開催のねらい

 セミナーでは、モータリゼーション到来を控えたフィリピンの損害保険業界関係者に、安定的に自動車保険を提供していく上で不可欠な保険引受けと保険金支払いの適正化に関する日本の損害保険業界の経験や、日本の損害保険業界の自然災害への対応を紹介しました。

 現在、フィリピンではリスクを正しく反映した自動車保険料算出に必要な統計の収集や、算出された料率の遵守が課題であり、モータリゼーション到来前にこれらの課題を解決する必要が指摘されています。

 これを受けセミナーでは、保険業界の持続的成長のためにはリスクを正しく反映した料率での引受けが不可欠であることを説明した上で、日本では適正な自動車保険引受けを確保するために、業界ベースでの正確なデータ収集に基づき損害保険料率算出機構(損保料率機構)が料率検証を行っていること、保険契約者間の公平性を維持するために保険金請求歴を保険料に反映すべく等級別料率制度が導入され、保険会社間で情報交換が行われていることを紹介しました。

 また自然災害については、毎年、台風等の自然災害により甚大な被害を被っているフィリピンに対して、日本の損害保険業界における事前のロス・プリベンション(損害防止)や、災害発生時の対応を紹介しました。特に、「東日本大震災発生時に短期間で迅速な保険金支払いを行った日本の損害保険業界の経験から学びたい」とのフィリピン側からの要望に応えてノウハウを提供しました。

フィリピンの損害保険業界の健全な発展のために

 セミナーでは、多数の参加者を対象としたプレゼンテーション形式による初日、2日目午前のセミナーに加え、2日目午後にはフィリピンの損害保険業界首脳を対象とした双方向の論議に重点を置いたワークショップを行いました。

 ワークショップには、日本側から損保総研の遠藤 寛理事長がモデレーターとして、金融庁監督局保険課の西田英範課長補佐、当協会の深田一政常務理事、損保料率機構の渡辺 仁司 業務サービス部国際業務室長代行がスピーカーとして参加し、フィリピン損害保険・再保険協会のレローサ会長をはじめとする現地の業界首脳と、業界の健全な発展のための方策について論議を行いました。

 また、西田課長補佐の基調講演とワークショップでのプレゼンテーションでは、日本の監督法制・行政だけでなく、健全な保険市場発展のために不可欠な「規律ある市場(ルール遵守)」の重要性について参加者に説明がありました。

開会式で挨拶する深田常務理事
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