IAIS保険セクターのシステミックリスクに対する包括的枠組みに係る文書案に意見提出

システミックリスクの源泉や流動性リスクの定義、対象保険会社の選定基準等について意見

 日本損害保険協会(会長:西澤 敬二)では、保険監督者国際機構(IAIS)(※1)が公表した「保険セクターのシステミックリスクに対する包括的枠組み案」に対する意見を1月24日に提出しました。

 本文書は、2008年の金融危機以来継続してきたシステミックリスク対応を目的に主に次の内容をまとめたもので、2018年11月14日から2019年1月25日まで市中協議(パブリック・コメント)に付されました。

<文書の主な内容>

 当協会では、①全ての保険会社が本枠組みの対象となることを踏まえたプロポーショナリティ適用、②保険と銀行両セクターの公平性確保、③過度な事務負担回避に向けた配慮、④システミックリスクに特化した流動性リスクの取扱い等を求める意見を表明しました。

保険監督者国際機構(IAIS)「保険セクターのシステミックリスクに対する包括的枠組みに係る市中協議文書」に対する損保協会意見(PDF)

<当協会意見概要>

 IAISは、今回の市中協議に寄せられた意見を参考にさらなる検討を進め、本枠組みを反映した保険基本原則(ICP)(※2)およびコムフレーム(ComFrame)(※3)案を6月に市中協議に付し、11月を目途に内容を固める予定です。

 当協会は、IAISにおける国際保険監督基準策定の議論に積極的に参加しており、今後も関係国際機関等に対して本邦業界の意見を表明していきます。

(※1)保険監督者国際機構(IAIS)の概要

1994年に設立され、世界約150カ国・地域の保険監督当局(メンバー)で構成。主な活動は以下のとおり。

1)保険監督当局間の協力の促進
2)保険監督・規制に関する国際基準の策定および導入促進
3)メンバー国への教育訓練の実施
4)金融セクターの他業種の規制者等との協力

※日本からはメンバーとして金融庁が参加しており、当協会もステークホルダーとして積極的に関与する方針を掲げている。

(※2)保険基本原則(ICP)

IAISが定める、すべての保険者・保険グループの監督において適用されるべき基本原則。保険監督機関が自らや保険会社に関し権限を持ち、管理すべき分野(例:免許交付、モニタリング、検査、破綻処理、ガバナンス、リスク管理、資本十分性、投資、開示等)について定める。適用度・強制度に応じ、「原則」、「基準」、「ガイダンス」の3層で構成。現行ICPの和訳はこちら(※)参照。

(※3)コムフレーム(ComFrame)

正式名称を「IAIGsの監督のための共通の枠組み」と言い、「IAIGs(国際的に活動する保険グループ)」にICPの追加として適用される監督要件。ガバナンス、リスク管理等の定性要件、定量要件(資本要件)、監督者に対する要件(監督者間協力、破綻処理等)を含む。適用度・強制度に応じ、「コムフレーム基準」、「コムフレームガイダンス」の2層で構成。資本要件として、国際保険資本基準(Insurance Capital Standard:ICS)の策定が進められている。IAISは、ICSを含むコムフレーム全体の2019年完成、2020年実施を予定している。

本市中協議文書(原文)は、こちら(※) でご覧いただけます。

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