IAIS市中協議文書「合算手法(AM)の国際資本基準(ICS)との比較可能性評価に係る基準案」に意見提出

 日本損害保険協会(会長:白川 儀一)は、保険監督者国際機構(IAIS)(※1)が6月15日から8月15日に パブリック・コメント(市中協議)に付した「合算手法(Aggregation Method、AM)の国際資本基準(Insurance Capital Standard、ICS)との比較可能性評価に係る基準案」に対する意見を提出しました。

1.本基準案の背景と概要

・2017年11月に、IAISは、法域間で比較可能な結果を達成する単一の保険資本基準(ICS ※2)という最終的な目標に向けて前進するため、グループ資本基準のコンバージェンスのための統合的な道程を公表した。また、2019年11月には、グループ資本の計算方法として米国が開発したAMがICSと比較可能な(すなわち実質的に同じ)結果をもたらすか否かを評価する基準策定に関するプロセスとスケジュールについて合意し、作業を進めている。

・今般策定・公表された比較可能性基準案は、市中協議を経て2021年3月に合意された比較可能な結果の定義およびハイレベル原則に基づく内容となっている。また、本基準案は、AMがICSと同等の結果をもたらすアプローチであることを認める、または阻害するものではない。

・今後、IAISは、本市中協議の結果を踏まえて本基準を確定させたうえで、2023年第3四半期に、ICSとAMの比較可能性評価を行う予定である。

2.損保協会意見の概要

・ICSの実施後も、ICSとAMが比較可能な結果を生むかを継続的に検証する必要がある。

・経済及び金融市場の変化に対する反応を検証する方法として、シナリオを用いた感応度分析の実施を行う方向性が明確化されたことは望ましい。

・AMにも、ComFrame(※3)に基づいたグループワイド監督者への報告および一般への開示要件が適用されるとの基準を歓迎する。

「合算手法(AM)の国際資本基準(ICS)との比較可能性評価に係る基準案」に対する損保協会意見

 当協会は、IAISにおける国際保険監督基準策定の議論に積極的に参加しており、今後も市中協議等に際して本邦業界の意見を表明していきます。

(※1)保険監督者国際機構(IAIS)

1994年に設立され、世界200カ国・地域以上の保険監督当局(メンバー)で構成される組織。
主な活動は以下のとおり。
1)保険監督当局間の協力の促進
2)保険監督・規制に関する国際基準の策定および導入促進
3)メンバー国への教育訓練の実施
4)金融セクターの他業種の規制者等との協力
※日本からは金融庁がメンバーとして参加しており、当協会もステークホルダーとして積極的に関与する方針を掲げている。

(※2) ICS

国際的に活動する保険グループ(Internationally Active Insurance Groups:IAIGs)に対する各国の資本規制間の比較可能性向上を目的として、IAISがComFrameの一部として2013年から開発を進めているIAIGsに適用される経済価値ベース、グループ(連結)ベースの資本十分性の指標。ICSは段階的に開発され、2017年7月にICS1.0が、2019年11月にICS2.0が策定された。IAISは、ICS2.0の策定後、2020年から5年間のモニタリング期間を設け、ICS参照値の監督当局への機密報告や監督カレッジでの議論等を通じ、内部モデルの扱いや比較可能性、影響等を分析・検討のうえ最終化することとされており、各国における法制化を経てIAIGsに対する規制資本として適用される予定。

(※3) ComFrame

IAIGsに対して保険一般原則に加えて適用される要件。

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