「サイバー保険に関する調査2018」を発表
~サイバー攻撃対象への危機意識、大企業79%に対して中小企業25.1%と低調~
【No.18-045】
2019.03.11
一般社団法人日本損害保険協会(会長:西澤 敬二)は、サイバーセキュリティやサイバー保険に関するアンケート調査を実施し、国内の企業1,113社からの回答結果「サイバー保険に関する調査2018」を発表します。
当協会では、企業のサイバーセキュリティ強化に向けた啓発活動や損害保険業界の一層の対応力強化等に本調査結果を活用していきます。
1.アンケート調査の実施概要
- 調査期間:2018年12月5日~2019年1月11日
- 調査方法:インターネット調査/郵送調査の併用
- 調査対象:12,500社(国内上場/非上場企業)
- 回答社数:1,113社
2.アンケート調査結果
(1)サイバーセキュリティへの対策、中小企業ほど「わからない」
- サイバーセキュリティ対応の充足度に対する認識について、企業全体では、「十分である」との回答は、わずか5.2%となっています。
- 傾向としては、売上規模が小さくなるにつれて、自社のサイバーセキュリティ対策について「十分である」「不十分である」ではなく、「わからない」と回答する割合が高まっており、充足度について認識していない傾向があります。
<サイバーセキュリティ対応状況>
(2)サイバー攻撃への「危機認識」、中小企業ほど低下
- 自社がサイバー攻撃の対象になる可能性について、企業全体では、「可能性がある」との回答が38.9%、「可能性がない」は5.7%、「わからない」は54.9%となっており、60%以上の企業が、自社がサイバー攻撃の対象になる可能性があることを認識していません。
- 従業員数別でみると、1,000名以上の企業では、「可能性がある」との回答が79%に対して、50名未満の企業では、25.1%にとどまり、企業規模が小さいほど、サイバー攻撃への危機意識が低い傾向があります。
<サイバー攻撃対象への危機意識>
(3)サイバーセキュリティ事故経験、全体の14.1%は「ある」
- サイバーセキュリティの事故経験について、企業全体では、「ある」との回答が14.1%、「ない」が74.4%となっています。
- 調査結果から、売上高や従業員数、個人情報の保有数が多い企業ほど、事故経験がある割合は高くなる傾向がありますが、企業規模が小さい企業でも事故経験があり、企業規模を問わずサイバー攻撃を受ける可能性はあります。
<サイバーセキュリティ事故経験>
(4)サイバー保険を「よく知っている」は企業全体で7.7%
- サイバー保険の認知状況について、企業全体では、「よく知っている」との回答が7.7%、「ある程度知っている」が17.9%、「名前だけ知っている」が31.7%、「知らない」が42.3%となっており、サイバー保険の内容まで含めた認知度は、未だ低い状況です。
- 従業員数別でみると、50名未満の企業では、「よく知っている」との回答が1.6%、「ある程度知っている」が10.4%に留まり、企業規模が小さいほど、認知度が低い傾向があります。
<サイバー保険認知状況>
(5)サイバー保険の加入状況は50名未満の企業で4.9%
- サイバー保険の加入状況について、企業全体での加入率は12%、検討実績のある企業の割合と合わせても、25%程度となっています。
- 従業員数別にみると、50名未満の企業の加入率は4.9%となっており、サイバーリスクへの備えとしてのサイバー保険の活用は、まだ進んでいない状況です。
<サイバー保険加入状況>
その他、全4章、17項目の調査結果が「サイバー保険」特設サイトでご覧いただけます。
(数字でみるサイバーリスクと保険ページ内)
ご参考:「サイバー保険」とは
- サイバー事故により企業に生じた第三者に対する損害賠償責任のほか、事故時に必要となる費用や自社の喪失利益を包括的に補償する保険です。
※上記の補償のほか、保険会社によっては、関連する付帯サービス(情報セキュリティ診断サービス等)を提供している場合があります。
※補償内容は、保険会社や保険会社が提供するサイバー保険のプランにより異なります。詳細は保険会社・代理店にご確認ください。