2021年度自賠責運用益拠出事業18.5億円を決定 -自動車事故防止対策や被害者支援に自賠責保険の運用益を活用- 【No.20-29】
2021.02.18
一般社団法人日本損害保険協会(会長:広瀬 伸一)は、2月18日(木)の当協会理事会において、各損害保険会社から拠出される自動車損害賠償責任保険の運用益を活用し、新規5事業を含めた42事業に対する総額18億5,228万円の支援を決定しました。
当協会では、1971(昭和46)年から、同運用益を活用した自動車事故防止対策事業や被害者対策事業などの多様な分野に対する支援を行っています。
2021年度の支援では、自動車事故被害者対策を中心に取り組むとともに、昨今の交通環境の変化を踏まえて、自動車事故防止対策事業に重点的に拠出することを基本方針としています。
また、先進技術の活用が特に進んでいる分野である自動車事故防止対策においては、2019年度から公募制を導入し、より社会的ニーズに即した事業に拠出するように努めています。
1.2021年度「自賠責運用益拠出事業」概要
- (1)自動車事故防止対策
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交通事故防止のための啓発・教育、交通事故防止機器の寄贈、交通事故防止に関する研究
- (2)救急医療体制の整備
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救命救急医療機器・機材の寄贈、救急医師・救急看護師の育成、ドクターヘリ事業の推進
- (3)自動車事故被害者対策
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交通事故相談等への支援、交通遺児への支援、被害者・家族等の心のケア、講習会の支援、研究支援
- (4)後遺障害認定対策
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公募による研究助成
- (5)医療費支払適正化対策
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医療費支払適正化の取組み
2.2021年度に支援する新規事業の紹介
(1)自動車事故防止対策
ア.安全運転支援装置の体験による交通事故防止意識の醸成および同装置の普及促進(事業主体:一般社団法人全日本指定自動車教習所協会連合会)
- 近年、高齢運転者のブレーキとアクセルの「踏み間違い」による重大事故の発生が社会問題となっています。
- 本事業では、全国の指定自動車教習所に「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」(※)を配備します。高齢者講習等で来所する高齢運転者および新規免許取得者等に体験機会を設け、安全運転意識の向上や同装置の普及促進を図ります。
※「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」は、停車時・徐行時の急発進を防止する、後付け可能な運転支援装置です。
イ.オンラインを活用した交通安全教育手法の開発および普及(事業主体:一般財団法人日本交通安全教育普及協会)
- 新型コロナウイルスの影響により、多くの小・中学校等において、従来実施されてきた対面・集合型の交通安全教室の実施が困難な状況にあります。
- 本事業では、コロナ禍の「新しい生活様式」に適した、非対面・非接触のオンラインでの交通安全教育モデルを開発して全国へ普及を図り、子どもたちの交通安全教育の機会を確保します。
(2)自動車事故被害者対策
ア.地域通所施設をめぐる高次脳機能障害者への支援プログラムに関する研究(事業主体:神奈川工科大学)
- 障害福祉サービス通所施設では、リハビリテーション専門職の設置基準がないため、医療機関で研究の進む高次脳機能障害者の訓練プログラムの利用が難しい状況にあります。
- 本事業では、神奈川リハビリテーション病院の協力を得て、全国の障害福祉サービス通所施設においても実施可能な高次脳機能障害者向けの訓練プログラムを体系化し、地域の障害福祉サービス機関でも効果の高い生活支援を受けられる環境の整備を目指します。
■その他事業については、別紙の「自賠責運用益拠出事業一覧」をご参照ください。
ご参考:「自賠責運用益拠出事業」について
- 自賠責保険は交通事故被害者への損害賠償という保険本来の役割だけでなく、自賠責保険の収支の改善や被害者保護を増進するため、交通事故防止や救急医療体制の充実、被害者やその家族の支援事業などを支える役割も担っており、自賠責運用益が活用されています。
- 自賠責運用益の使途は、将来の自賠責保険の収支改善のための財源とするほか、自動車事故防止対策、救急医療体制の整備、自動車事故被害者対策等に必要な費用など、被害者保護の増進に資する施策に活用できるとされています(自賠法第28条の3)。
- 当協会では、各損害保険会社からの運用益の拠出を受け、真に被害者の支援となる事業を心がけ、「自賠責運用益拠出事業」の運営を行っております。