4. 紛争解決手続
4-1 紛争解決手続と裁判(訴訟)との違いを教えてください。
そんぽADRセンターの紛争解決手続は、金融ADR制度(ADR:裁判外紛争解決手続)に基づく手続であり、一般的に裁判(訴訟)と比べて簡易・迅速な手続と言われています。また、裁判は原則として公開にて行われますが、紛争解決手続は非公開で実施します。
その他、裁判(訴訟)と紛争解決手続は解決の方法が異なる点があります。
裁判(訴訟)では、事実の認定を行ったり、当事者双方に一定の強制力を有する判決が下されます。一方、紛争解決手続は、当事者双方の互譲の精神(互いに相手に譲る気持ちを持つこと)に基づく解決を目指すものであるため、双方の主張(言い分)が大きく異なっている場合等においては、解決が難しいことが多いです。
4-2 受け付けてもらえない申立内容はありますか?
紛争解決手続の申立内容が主に以下の場合、申立ては受け付けられますが、手続実施委員の判断により手続を実施しない場合があります。
- 1.お客様が損害保険に関する知識を持つ専門家であるもの
- 2.お客様が大企業、それに準ずる企業であり、保険会社との間に交渉能力などの格差がないもの
- 3.紛争の金額が大きく、かつ、和解の前提として詳細な事実の認定・判断の必要性が高いと考えられるもの
- 4.経営判断の妥当性のみを争うもの、具体的な被害がないもの
【具体例】「保険会社の社員等の素行や接客態度に関するもの」等 - 5.他の相談機関等において紛争解決手続に相当する手続が開始されているもの、または当該手続が終了したもの
- 6.お客様が紛争解決手続において解決を図ることを目的とせず、保険会社の説明または関係資料を入手する目的で申立てを行っているもの
- 7.お客様が謝罪の要求を主な目的として申立てを行っているもの
※ 詳しくは「損害保険業務等にかかる紛争解決等業務に関する業務規程」第33条(紛争解決手続を実施しない場合)をご覧ください。
4-3 紛争解決手続を申し立てた後に、苦情解決手続を案内される場合について教えてください。
紛争解決手続の申立内容が以下の場合、申立ての受付を保留し、苦情解決手続を案内するこ とがあります。
- 1.最終的に保険金等の支払を争うものであって、保険会社から具体的な金額の提示を受けて いない段階にあるもの
【具体例】けがの治療中や後遺障害の等級が決まらないうちに紛争解決手続の申立てがあった場合等 - 2.お客様と保険会社との間で具体的な交渉が行われていないと認められるもの
- 3.お客様の意向や申立ての内容等を十分に考慮した結果、苦情解決手続により解決を図ることが相当であると判断されるもの
【具体例】お客様が紛争解決手続の申立てを行った際、そんぽADRセンターからの手続案内によって苦情解決手続による解決方法を初めて認識し、その結果、苦情解決手続を開始することについてお客様が同意した場合等
4-4 すでに損害保険会社との交渉が平行線状態であるため、苦情解決手続を経ずに紛争解決手続の申立てをすることは可能ですか。
苦情解決手続のご利用を経ずに直接紛争解決手続をお申立てることも可能ですが、紛争解決手続の申立内容を踏まえて検討した結果、まずは苦情解決手続を実施することが相当であると判断した場合、その旨をお客様にご連絡の上、苦情解決手続を実施するとともに紛争解決手続については受付を保留する場合があります。
4-5 手続実施委員はどのような人ですか?
紛争解決手続を担当する手続実施委員は、そんぽADRセンターが委嘱している紛争解決委員(中立・公正な第三者である弁護士・消費生活相談員・学識経験者等)の中から、申立内容に関して利害関係がなく、かつ専門的な知識・経験を有する者を選任しています。
※手続実施委員は、一般紛争の場合は弁護士、消費生活相談員、学識経験者等(複数名)、交通賠責紛争の場合は弁護士が担当します。
※お客様が手続実施委員を指名等することはできませんので、ご了承ください。
4-6 手続実施委員と意見聴取(面談)は必ずできますか?
<一般紛争の場合>
紛争解決手続における意見聴取(面談)は、申立事案ごとに手続実施委員が実施の要否を検討します。したがって、すべての事案で意見聴取が実施されるとは限りません。意見聴取が実施される場合、手続実施場所(そんぽADRセンター東京またはそんぽADRセンター近畿)のほか、お客様の事情等を考慮し、手続実施委員が相当と認める場合には、最寄りのそんぽADRセンター事務所(北海道札幌市、宮城県仙台市、石川県金沢市、愛知県名古屋市、広島県広島市、香川県高松市、福岡県福岡市、沖縄県那覇市)でテレビ会議システムを利用して実施します。
<交通賠責紛争の場合>
紛争解決手続における意見聴取(面談)は、そんぽADRセンター東京(東京都千代田区)の事務所内で実施します。標準的な手続では、お申立ての内容を確認するために実施するもの(1回目)と、和解案を提示するために実施するもの(2回目)の計2回にご出席いただきます。
4-7 紛争解決手続では和解案(特別調停案)が必ず提示されますか?
和解成立の見込みがないときは和解案を提示せず手続が終了します。
そんぽADRセンターの紛争解決手続は、互譲の精神による妥当な紛争の解決を目指すものです。
以下のように、紛争解決手続によっては和解が成立する見込みがないと手続実施委員が判断したときは、手続を終了し、その旨を通知します。
- 1.当事者から提出された資料等によっては紛争の争点となる事実を確認することが著しく困難な とき
【具体例】車両の盗難・いたずら被害や放火が疑われる火災など、事故発生の有無を争うもの等 - 2.当事者の間の意見に大きな開きがあるとき
- 3.紛争解決手続について、保険会社が正当な理由に基づき手続に応じなかったとき
- 4.お客様が業務規程、細則および利用規定に反する行為を行った、または手続実施委員の指示に従わなかった事実が認められたとき
4-8 「特別調停案」は和解案とどのように違いますか?
特別調停案とは、一定の場合(※)を除き、損害保険会社が受諾しなければならない和解案のことです。
(※)保険会社が特別調停案を受諾しなくてもよい場合
・お客様側が特別調停案を受諾しない場合
・訴訟を提起する場合
・提起されている訴訟が取り下げられない場合
・その他の和解が成立する場合
金融ADR制度に基づくそんぽADRセンターの紛争解決手続では、紛争解決の実行性を確保するために、手続実施委員は特別調停案を提示できることとなっています。(紛争解決手続によっては和解が成立する見込みがないと委員が判断したときは、和解案・特別調停案を提示せず手続が終了となる場合がありますのでご了承ください。)
4-9 手続終了までにどれくらいの期間がかかりますか?
手続実施委員は、お申立てを受け付けた日から原則として4か月以内(標準処理期間)に、和解案等を作成するよう努めます。
(注)手続期間は、お申立ての事案や手続状況により異なりますので、予めご了承ください。
4-10 紛争解決手続はどのような場合に終了しますか?
紛争解決手続は、次の場合に終了します。
- 1.手続実施委員が、紛争解決手続によっては紛争の当事者間に和解が成立する見込みがないと判断したとき
※当事者から提出された資料等によっては紛争の争点となる事実を確認することが著しく困難な場合等には、手続実施委員は、紛争解決手続によっては紛争の当事者間に和解が成立する見込みがないと判断することがあります。(和解案が提示されることなく手続が終了する場合があります。) - 2.次のいずれかに該当することとなったとき
・紛争解決手続の申立ての要件に適合していないことが判明したとき
・保険会社が正当な理由に基づき紛争解決手続に応じなかったとき
・手続実施委員が紛争解決手続を実施しないこととしたとき
・お客様が業務規程、細則もしくは利用規定に反する行為を行ったまたは手続実施委員の指示に従わなかった事実が認められたとき
・申立取下書の提出があったとき
・紛争解決手続の申立てを他の相談機関等に移送したとき
・和解が成立したとき
4-11 紛争申立てによる時効の完成猶予の効力について教えてください。
紛争解決手続のお申立てには、次の場合に時効の完成猶予の効力があります。
・手続実施委員が「和解成立の見込みがない」ことを理由に紛争解決手続を終了した場合において、手続終了の通知を受けた日から1か月以内にお客様が訴訟を提起した場合
- 紛争解決手続のお申立てがあった時に遡って時効の完成猶予の効力が発生します。
※時効の完成猶予の効力は、保険業法第308条の14(時効の完成猶予)に基づくものです。
なお、保険金を請求する権利は、権利行使が可能となる日(※)の翌日から3年を経過した場合には時効によって消滅します。
(※)権利行使が可能となる日は、保険金の種類によって異なります。