「国際金融都市・東京」構想改訂(案)に意見表明
2021.09.09
損害保険を含めた金融商品の横断的な金融リテラシーの向上を要望
日本損害保険協会関東支部(委員長:永次 哲・三井住友海上火災保険株式会社コンプライアンス部 部長(関東1・北陸担当))では、東京都が令和3年7月21日(水)~令和3年8月31日(火)の間に実施した「国際金融都市・東京」構想改訂(案)(※)に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、以下のとおり意見表明を行いました。
≪「国際金融都市・東京」構想改訂(案)への意見内容 ≫
・本構想の掲げる「社会課題の解決に貢献する分厚い金融市場の構築」、「フィンテックの活用等による金融のデジタライゼーション」、「資産運用業者をはじめとする多様な金融関連プレーヤーの集積」の3つの柱については重要な事業であり、本構想の趣旨に賛同するので、積極的に推進いただきたい。
Ⅲ 具体的施策 3 資産運用業者をはじめとする多様な金融関連プレーヤーの集積
(3)金融系人材の育成・金融リテラシーの向上 ③ 都民の金融リテラシーの向上促進(27ページ)
・現代社会では、金融との関わりを持つことは避けられず、誰もが「生活スキル」として金融リテラシーを身に付けておく必要がある。国民一人ひとりの金融リテラシーの向上は、結果として、健全で質の高い金融商品の提供促進や、家計金融資産の有効活用にもつながり、公正で持続可能な社会の実現にも貢献すると考える。
・少子化・高齢化社会において、国民が資産形成を図るうえで、金融商品の知識を十分に習得し「貯蓄」から「投資」への流れを推進していくことには賛同する。併せて、最近の多発する自然災害やリスクの多様化に対応して、民間の損害保険を活用して、必要な備えをしておくことも同様に重要であると考える。そうした観点から、「国際都市・東京」に相応しい都民の「金融リテラシー」を鑑みるに、資産形成に偏ることなく、民間保険を含めた金融商品の横断的な金融リテラシーの向上が望まれる。
<各施策への意見>
・都民にとって、資産形成のための金融商品はもちろんのこと、交通事故や自然災害等といった身近なリスクに備え、資産を守るための損害保険も重要である。都民向けの資産形成に関する基礎講座のテーマを拡張し、損害保険等の民間保険も学習カリキュラムに組み込んでいただきたい。
・当協会では、損害保険の教育の普及について、発達段階に応じて身につけてほしい知識、能力を踏まえて、講演や教育ツールを作成しており、高校生向けには、身の回りのリスクとその備えについて短時間で簡単に学べる教材「明るい未来へTRY!」を授業展開例等と合わせて提供している(当協会HP:明るい未来へTRY!~リスクと備え~)。
・本教材は、2022年から実施される高校の学習指導要領を踏まえた内容となっており、公益財団法人 消費者教育支援センターから、消費者教育教材資料2021で「優秀賞」を得るなどの評価を受けており、デジタル化も含め教員が授業実践し易い工夫もされているので、東京都の高校の公民科、家庭科の授業等で金融教育を行う際の補助教材や教師用のパンフレットとして活用いただきたい。
・2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられ、18歳から契約の主体になることが可能になったため、高校生のうちに金融についての基本的知識を身につけることが重要である。都立高校等の公民科や家庭科の教科で活用するなど、高校生活で必ず、数回、損害保険を学習するための時間の確保を検討いただきたい。
・当協会では、金融リテラシー向上に関する授業時間の確保に向けて、関係各所へ働きかけを行っているところであり、東京都での授業実践の推進およびその事例の共有などに協力いただきたい。
参考
(※)東京都では、国際金融を取り巻く大きな環境変化に的確に対応し、国際金融都市としての東京の地位を確立していくため、平成29年11月に策定した「国際金融都市・東京」構想の改訂に向けた検討を行い、今般「国際金融都市・東京」構想改訂(案)として取りまとめられました。
≪「国際金融都市・東京」構想改訂(案)の概要 ≫
○目標 : サスティナブル・リカバリーを実現し、世界をリードする国際金融都市へ
○具体的施策:1.社会的課題の解決に貢献する分厚い金融市場の構築
(1)グリーンファイナンス市場の発展
(2)グリーンファイナンスにおける参加プレーヤーの裾野拡大
(3)環境施策・環境技術の情報発信とESG人材の育成
2. フィンテックの活用等による金融のデジタライゼーション
(1)フィンテック企業の誘致・創業・成長支援
(2)資金の繋ぎ手のデジタル化促進
(3)キャッシュレス化の推進
3.資産運用業者をはじめとする多様な金融関連プレーヤーの集積
(1)資産運用業者等の誘致推進
(2)資産運用業者の創業・成長支援
(3)金融系人材の育成・金融リテラシーの向上
関東支部では、今後も行政や関係機関と協力し、損害保険リテラシーの向上に資する取り組みを推進します。