「第11次大阪市交通安全計画(素案)」に意見表明
2021.12.13
大阪市における交通安全思想の普及徹底および無電柱化の推進等を要望
日本損害保険協会近畿支部(委員長:藤原 剛・三井住友海上火災保険株式会社常務執行役員 関西本部長)では、大阪市が令和3年11月4日(木)~令和3年12月3日(金)の間に実施した「第11次大阪市交通安全計画(素案)」に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、布垣 光盛 消費者部会長(三井住友海上火災保険株式会社関西総務部長)名で意見表明を行いました。
本計画は、交通安全対策基本法(昭和45年法律第110号)に基づき、大阪市域における陸上交通(鉄道等事業を除く)の安全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱を定めるもので、概要は以下のとおりです。
「第11次大阪市交通安全計画(素案)」の概要
〇目標(年間)
・交通事故死者数 26人以下
・重傷者数 695人以下
〇今後の道路交通安全対策を考える視点
・高齢者及び子どもの安全確保
・歩行者及び自転車の安全確保と遵法意識の向上
・生活道路及び幹線道路における安全確保
・交通実施等を踏まえたきめ細かな対策の推進
・地域が一体となった交通安全対策の推進
これに対し、消費者部会では、以下のとおり意見表明を行っています。
「第11次大阪市交通安全計画(素案)」への意見内容
<意見1>
当協会では、毎年秋に、都道府県別の事故多発交差点マップ(人身事故の多い交差点のマップ)を公表し注意喚起を行っております。集計結果としては、例年、大阪市内の特定の交差点が恒常的に事故件数全国ワースト5交差点にランクインしております。
交通事故の危険性が高い特定の箇所・区間の指定にあたっては、大阪市と大阪府警察の連携により人身事故発生件数が激減した「難波交差点」対策(御堂筋一帯の道路空間改良工事)にみられるように、直近の交通事故の発生状況や多数の人身事故が毎年常態的に発生している箇所を考慮する等、柔軟な対応をお願いします。また、事故多発交差点においては、「右折レーンの設置や延伸をはじめとする短期的なハード整備や立体交差化等」(P.13)を積極的に推進するようお願いします。
【該当箇所】第2章、1、(2)「幹線道路における交通安全対策の推進」(P.13)
<意見2>
「無電柱化の推進」については、「1 道路交通環境の整備」(P.14)において記載されておりますが、無電柱化は、平時の安全で快適な通行空間の確保に資するだけでなく、災害時の安全な避難経路および緊急車両の通行空間の確保につながり、災害被害の低減や復旧復興の迅速化にも大きく寄与します。本項目においても無電柱化について記載いただきますよう、ご検討をお願いします。
【該当箇所】第2章、1、(9)「災害に備えた道路交通環境の整備」(P.16)
<意見3>
高齢ドライバーによる事故が社会的に問題視される中、本計画には「高齢者等の移動手段の確保・充実」(P.14)が記載されておりますが、各地域の実情や高齢者のライフスタイルによっては、引き続き高齢者が自動車を運転することも想定されます。
したがって、当面は「サポカー・サポカーS」や「運転者の危険認知の遅れや運転操作の誤りによる事故を未然に防止するための安全運転を支援するシステム」の普及促進、およびこれらの購入を希望する高齢ドライバーへの国の補助金制度の周知徹底なども必要と考えます。
具体的には、「高齢者等の移動手段の確保・充実」(P.14)に上述について追記いただき、また、キ「高齢者に対する交通安全教育の推進」(P.19)に上述について普及・周知することを追記してはいかがでしょうか。
【該当箇所】第2章、1、(4)「高齢者等の移動手段の確保・充実」(P.14)
第2章、2、(1)キ「高齢者に対する交通安全教育の推進」(P.19)
<意見4>
小学生、中学生、高校生は特に移動手段として自転車を利用するケースが多いため、自転車事故を未然に防ぐための自転車等の交通安全教育が第一義と考えますが、自転車事故の加害者となった際には、極めて重大な責任を負う可能性もあることから、成人を含めてその責任への対処法等を教育することも重要と考えます。
【該当箇所】第2章、2、(1)「ライフステージに合わせた取組み」(P.18)
<意見5>
交通事故を防ぐには、交通ルールの教育に加えて「交通ルールを守る」という道徳的な意味での交通マナーの教育も重要です。交通安全モラルの向上には、若年期からの教育が有効と考えており、交通マナーの教育についても、しっかりと推進いただきますようお願いします。
【該当箇所】第2章、2、(1)「ライフステージに合わせた取組み」(P.18)
<意見6>
自転車損害賠償保険等の加入義務化や成年年齢の引き下げにより、高校在学中あるいは卒業後すぐに保険契約者となる機会が到来すること等を踏まえると、高校の授業における体系的な学びが必要です。このため、以下のように記載を追加し明確化する必要があると考えます。
「・・・自転車の安全な利用、二輪車・自動車の特性、危険の予測と回避、運転者の責任、強制保険である自動車損害賠償責任保険や任意の自動車保険の必要性、応急手当等について更に理解を深めるとともに、免許取得前の教育としての性格を重視した交通安全教育を行います。」
【該当箇所】第2章、2、(1)、エ「高等学校」(P.19)
<意見7>
近年、電動キックボードの交通違反やそれによる交通事故が多発しております。「エ 電動キックボードに対する取組み」という項目を追加いただき、
・ヘルメットが着用義務であること
・運転免許が必要であること
・車道通行であること
・制動装置、前照灯、後写鏡等を備えていること
・自賠責保険(共済)の契約をしていること
・ナンバープレートを取り付けていること
などの周知・徹底、および電動キックボードに対する交通安全対策強化について記載いただきますよう、ご検討をお願いします。
【該当箇所】第2章、2、(3)「移動手段別の取組み」(P.21)
<意見8>
ドライブレコーダーの映像は、交通事故の客観的な証拠として有効なだけではなく、記録された映像を見ることにより、運転者は自身の運転特性を把握し、その反省を生かして安全運転に対する意識を向上させることで、交通事故防止を図ることができます。また、記録映像を利用して運転者や乗務員の安全教育への活用も期待できます。このことから、ドライブレコーダーの普及拡大にあたっては、事業用車両に限らず、積極的に推進いただくようお願いします。
【該当箇所】第2章、2、(3)、ウ、(ク)「職域との連携」(P.24)
<意見9>
交通事故被害者支援の充実について、強制保険である自動車損害賠償保障制度の役割発揮が必要不可欠であるため、自賠責保険についても追記いただきますよう、お願いします。
また、自転車による交通事故被害者支援の充実に関し、P.22、P.28に記載のある「損害賠償責任保険等への加入促進」という旨の文言について、「大阪府自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」では同保険の加入が義務付けられていることから、「自転車損害賠償保険等への加入義務の徹底」など、市民に適切なメッセージが伝わる表現にしたほうがよいと考えます。
【該当箇所】第2章、6「交通事故相談活動の推進及び交通事故被害者支援の充実」(P.28)
近畿支部では、今後も行政や関係機関と協力し、地域の安全・安心に資する取り組みを推進します。