「京都府総合計画」改定案(中間案)に意見表明
2022.11.02
京都府民の暮らしにおける安全・安心を要望
日本損害保険協会近畿支部(委員長:山口 和寿・損害保険ジャパン株式会社常務執行役員)では、京都府が令和4年9月28日(水)~令和4年10月19日(水)の間に実施した「京都府総合計画」改定案(中間案)に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、中野 将人 京都損保会会長(損害保険ジャパン株式会社京都支店長)名で意見表明を行いました。
本計画は令和元年10月に策定されましたが、新型コロナウイルス感染症やウクライナ侵攻、人口減少や少子高齢化に伴う地域社会の衰退といった社会の大きな転換点を迎える中で、府民が安心して、豊かに暮らし、将来に向かって夢を抱いていただくために本計画を前倒しで改定するもので、概要は以下のとおりです。
「京都府総合計画」改定案(中間案)の概要
1.将来構想
令和22(2040)年に実現したい京都府の将来像を描いた構想。
・人と地域の絆を大切にするあたたかい京都府
・文化の力を継承し新たな価値を創造する京都府
・豊かな産業と交流を創造する京都府
・環境と共生し安心・安全が実感できる京都府
2.基本計画
将来像の実現に向けた「8つのビジョンと基盤整備」、市町村単位を超えた連携に着目した「8つの広域連携プロジェクト」、全体を分野別に体系化した「分野別基本施策」からなる取組を示した計画。
・8つのビジョンと基盤整備
「将来構想」で掲げた将来像の実現に向けて、8つのビジョン(「安心できる健康・医療・福祉の実現」、「災害・犯罪等からの安心・安全の実現」、「子育て環境日本一・京都の実現」、「誰もが活躍できる生涯現役・共生京都の実現」、「共生による環境先進地・京都の実現」、「未来を拓く京都産業の実現」、「文化の力で世界に貢献する京都の実現」、「交流と連携による活力ある京都の実現」)とそれらを支える基盤整備により基本計画を推進する。
・8つの広域連携プロジェクト
府全域で連携して相互に施策効果を高めていく、8つの広域連携プロジェクト(「産業・物流広域連携プロジェクト」、「環境広域連携プロジェクト」、「文化・スポーツ広域連携プロジェクト」、「観光・交流広域連携プロジェクト」、「京都府北部地域連携都市圏広域連携プロジェクト」、「南丹地域スポーツ&ウェルネス&ニューライフ広域連携プロジェクト」、「京都府南部イノベーションベルト広域連携プロジェクト」、「グレーターけいはんな広域連携プロジェクト」)により、市町村や府内の多くの団体との連携を更に強化していく。
・分野別基本施策
「将来構想」で掲げた将来像の実現に向けて、20に分けた分野ごとに「2040年に実現したい姿」を示すとともに、「現状分析・課題」、「4年間の対応方向・具体方策」、「数値目標」により、目標達成に向けた方向性や手段を体系的に表す。
3.地域振興計画
山城地域振興計画、南丹地域振興計画、中丹地域振興計画、丹後地域振興計画の4つからなる。
これに対し、京都損保会では、以下のとおり意見表明を行っています。
「京都府総合計画」改定案(中間案)への意見内容
<意見1> 【該当箇所】分野別基本施策「16 しなやかで災害に強い地域」(P.89)
平時におけるハード・ソフト両面からの総合的な対策、災害時のきめ細やかな災害対応や復旧・復興に資する対策等、網羅的かつ有益な施策となっており、基本的な方向性について、賛同いたします。
そのうえで、P.89以降の「府・市町村の危機管理体制を充実し、災害発生時の対応力及び災害から立ち直れる力を強化します。」に関連するものとして、以下2点を基本施策に盛り込んでいただきたく、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
1.地震保険の周知・加入促進
大地震発生時には、生活の基盤である住居を失う方が多数発生します。被災後の復旧・復興や被災者の生活再建費用確保等の観点からも、国と民間保険会社で共同運営している地震保険の役割発揮は必要不可欠であり、平時から制度の周知・加入促進を図っていただくことを希望します。
2.災害に対する総合的な学びの機会の提供
一人ひとりの災害への対応力を強化し、府民の自助促進の観点から、民間事業者とも連携しながら、より体系的・網羅的に防災について学べる機会をできるだけ多く府民に提供いただくことを希望します。
<意見2> 【該当箇所】分野別基本施策「17 犯罪や事故のない暮らし」(P.93)
令和2年の京都府における人身事故件数(4,118件)のうち、約62%が交差点および交差点付近で発生しており、全国平均(56.1%)と比較して交差点および交差点付近での事故率が高くなっています。「年間の交通事故死者数を40人以下」という目標数値に向けてP.93「3」「5」の方策を推進するにあたり、交差点周辺の事故に焦点を当てることも有効と考えます。
<意見3> 【該当箇所】分野別基本施策「17 犯罪や事故のない暮らし」(P.94)
P.75「27」には自転車利用を促進する旨の記載がありますが、並行して自転車による事故対策も検討すべき重要な課題です。P.94「17」に記載のとおり事故を未然に防ぐための交通安全活動も重要ですが、事故を起こした後の被害者救済・加害者の経済的救済も重要です。
京都府では、条例により自転車損害保険等の加入が義務付けられていることから、『関係事業者の協力を得つつ、自転車損害保険等への加入義務化に関する情報発信を行い、加入促進を図る。』といった旨を本計画に追記すべきと考えます。
近畿支部では、今後も行政や関係機関と協力し、地域の安全・安心に資する取り組みを推進します。