長野県で超高齢社会セミナー実施
2016.03.09
超高齢社会の中での社会・損保の役割を考える
日本損害保険協会北関東支部長野損保会(会長:光野 尚・あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 長野支店長)と一般社団法人長野県損害保険代理業協会は、3月2日(水)に長野市のJA長野県ビル会議室で、損害保険会社社員と代理店を対象に、「超高齢社会セミナー」を実施しました。当日は60名の受講者が参加しました。
第一部は、長野県警察本部交通部交通企画課交通安全対策推進室長兼指導官の篠原 一則 氏を講師に招き、「長野県内の高齢者交通事故の現状と対策」というテーマで講義を実施しました。篠原氏からは実際の交通事故データに基づき、「高齢者の身体特徴として、動体視力の低下や視野の狭窄、暗順応の鈍化が発生するが、免許の更新時には静止視力の測定しかないため、詳細な視力を把握できず、また自覚がないことが問題である。結果として、歩行者や標識を見落とし事故の原因になる」等の説明や具体的な事故事例の紹介がありました。
第二部は、長野市保健福祉部介護保険課中部地域包括支援センター係長の高戸谷 千志美 氏と同保健福祉部介護保険課係長の冨岡 羊子 氏を講師に招き、「長野県の高齢化の現状と社会の役割」というテーマで講義を実施しました。高戸谷氏は「認知症鉄道事故訴訟の最高裁判決で認知症患者の徘徊が注目を集めているが、認知症=徘徊は間違った認識である。」と述べ、認知症への正しい理解を求めました。また、高戸谷氏が保健師として実際に高齢者と接した豊富な経験談として、高齢になると理解・判断力に障害が生じ二つ以上のことが重なるとうまく処理ができなくなるため書類は一つずつ提示するなど、損害保険の営業中起こり得る事例を交えながら、すぐにでも活用できる実践的な講義となりました。本講義は、長野市の「認知症サポーター養成講座」を兼ねており、修了者には認知症サポーターの印である「オレンジリング」が渡されました。
次に冨岡氏から「満期更改の手続きのアポイントを70歳台女性に前日電話でとったにもかかわらず、忘れてしまっている」という実際にあった事例のロールプレイングが行われました。その後こうした場合には、どのように接したらよいかというテーマでグループワークがあり、参加者は自分の経験等に照らし合わせながら、討論を行いました。
当支部の光野会長からは「2025年には現役世代1.9人で65歳以上の高齢者1人を支える時代が日本にくるといわれている中、長野県は昨年時点において現役世代1.9人で高齢者1人を支えている状況となっている。今回のセミナーを、損害保険業に携わる者が高齢社会の中で具体的に何が出来るか、何をすべきかを考えるきっかけにしていただきたい。」と挨拶がありました。 また、長野県損害保険代理業協会の上原 達 会長からは「代理店は高齢者の事故の関係で日々対応しており、今回のセミナーでは改めて認知症について考えさせられた。毎日の営業活動に役立つ内容であった。」とのコメントがありました。
当支部では今後もこのような勉強会を通じ、損害保険業界が超高齢化社会を支える役割を担うきっかけを作っていきたいと考えています。