大分県自転車活用推進計画(案)に意見表明
2019.09.13
自転車加害事故に備えた賠償責任保険への加入義務化等を大分県に要望
一般社団法人日本損害保険協会九州支部大分損保会(会長:山本 泉 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 理事・大分支店長)では、大分県が8月9日(金)~9月9日(月)の間に実施した「大分県自転車活用推進計画(案)」に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、山本 大分損保会会長名で意見表明を行いました。
今回、大分県は、環境に優しく経済的にも優れ、かつ、健康にも良い「自転車」の利用拡大に向け、国において2017年5月に「自転車活用推進法」が施行され、さらに、2018年6月には国における「自転車活用推進計画」が策定されたことを踏まえ、「大分県自転車活用推進計画」(2020年度までの3か年)を策定するため、パブコメに付したものです。
■大分県自転車活用推進計画(案)の概要
1.計画の位置付け -
・自転車活用推進法第10条に基づき定める計画
・大分県長期総合計画を補完する計画
2.計画の目標・施策 -
目標1 自転車利用に促進等による健康寿命日本一の実現
・施策1 自転車の日常的な利用を通じた健康づくりの推進
・施策2 誰もが安全に自転車に乗れる環境の創出
目標2 サイクリスト・フレンドリーな「おんせん県おおいた」の実現
・施策3 大分が誇る観光資源を活かしたサイクルツーリズムの推進
・施策4 サイクルスポーツの振興
目標3 自転車交通の役割拡大による良好な都市環境の形成
・施策5 自転車通行ネットワークの計画的な整備促進
・施策6 生活道路における通行空間の安全性の向上
・施策7 地域のニーズに応じた駐車場等の整備促進
・施策8 違法駐車の取締りの推進
・施策9 シェアサイクル等の利用促進
目標4 自転車事故のない安全で安心な社会の実現
・施策10交通安全意識の高揚に資する広報啓発等の重点的な実施
・施策11 学校における交通安全教育の推進
・施策12 自転車の点検整備等による安全性の確保
3.総合的かつ計画的に推進するための方策
(1)関係者の連携・協力及び人材育成
(2)広報活動等
(3)IoT等の活用
(4)フォローアップ指針と目標の見直し
これに対し、大分損保会では、当協会として、地域における安全・安心を推進する観点から、長らく学校教育活動の中で中学生・高校生を対象に交通安全講話等を通じて交通事故防止活動に取り組んできた点、あるいは、自転車シミュレータや高規格救急車等の機材を寄贈し、直接的に地域の安全・安心に貢献する活動を行っている点を踏まえ、以下4点の意見表明を行っています。
≪意見内容≫
「4 自転車に係る交通安全(1)自転車関係の交通事故の発生状況(2)交通安全意識の普及啓発」について
■ 自転車関係の交通事故において、死傷者の出た事故の6割以上で自転車利用者の交通違反がある現状を踏まえ、当協会としても自転車利用者の交通安全意識を向上させるため、取組み強化の必要性を感じております。
当協会では、「自転車シュミレータ」を自転車安全利用の実践的な教材として、(公財)大分県交通安全協会をはじめ全国の交通安全協会に寄贈するなど啓発に役立てていただいており、同啓発機材の活用拡大は有効な交通安全意識向上の手段と考えます。
また、当協会では、学校現場で活用いただける自転車事故の防止に向けた啓発冊子の作成等も行っており、これらをぜひ交通安全意識向上における活動の中で役立てていただきたいと考えております。
■ 「(2)交通安全意識の普及啓発 1)自転車利用者の安全意識醸成に関する取組」にも記載いただいているように、近年の自転車事故事例では1億円近い高額賠償請求事案が発生していることから、万一の場合の備えとして自転車損害賠償保険への加入促進は不可欠だと考えています。条例等による自転車損害賠償保険への加入等の促進の検討をお願いいたします。
条例等の策定にあたっては、全国の自治体で自転車保険の加入を条例で義務化する地域が増えていることからも、保険加入義務を明記する等、一定以上の強制力を発揮する方針設定が必要と感じております。九州内では既に鹿児島県が「加入義務」、福岡県・熊本県が「加入努力義務」を条例化しております。促進・啓発に留まらず、自転車損害賠償保険制度の設立および加入義務化の検討をお願いいたします。
■ また、「3 自転車の利用環境」で掲げていただいている自転車通行空間の整備と併せて、道路交通法施行令第26条で、自転車で歩道を走行できる者を次の場合に限定しているという観点からの啓発活動も行っていただきたく考えております。
・「自転車通行可」の道路標識または「普通自転車通行指定部分」の道路標示がある歩道を通るとき
・運転者が13歳未満もしくは70歳以上、または身体に障害を負っている場合
・安全のためやむを得ない場合
■ なお、当協会としては、学校教育現場等での自転車利用に関するルールの周知、自転車加害事故に伴う損害賠償責任に関する知識の啓発あるいは自転車事故に備えた損害賠償責任保険の加入の必要性の啓発等、自転車安全教育の推進に関して、従前より取り組んできておりますが、他の啓発手法の検討を含め、引き続き行政・関係各機関と連携しつつ行なっていく所存です。
大分損保会では、今後も行政や関係機関と協力し、交通事故防止に資する取り組みを継続して推進していきます。