次期「鹿児島県まち・ひと・しごと創生総合戦略」(骨子案)に意見表明
2020.01.28
サポートカー費用補助、地震保険の地域防災計画への明記等を要望
一般社団法人日本損害保険協会九州支部鹿児島損保会(会長:毛利 吉成・あいおいニッセイ同和損害保険(株)鹿児島支店長)では、鹿児島県が 12 月 19 日(金)~1 月 20 日(月)の間に実施した「次期「鹿児島県まち・ひと・しごと創生総合戦略」(骨子案)」に関するパブリック・コメント(意見募集)に対し、毛利 鹿児島損保会会長名で意見表明を行いました。
今回、鹿児島県では、現行総合戦略における取組について、一定の成果は見られるが、人口減少傾向に歯止めがかからず、経済のグローバル化や技術革新の急速な進展、地域間競争の激化など、変革期にある中、現在は本県の将来にとって重要な時期であると認識。「かごしま未来創造ビジョン」で示す鹿児島の目指す姿を踏まえつつ、本県のポテンシャルや可能性を最大限に生かした、地方創生の取組を推進する必要があり、これまでの取組を継続しつつ、国における第2期の新たな視点も踏まえ、次期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定するため、パブコメに付したものです。
■次期「鹿児島県まち・ひと・しごと創生総合戦略」(骨子案)の概要
1.基本目標 -I「しごと」をつくる II「ひと」をつくる III「まち」をつくる
2.取組の方向と具体的な施策
-Society5.0の実現に向けた技術の活用,持続可能な開発目標(SDGs)の理念
(1)働く場の創出
①農林水産業の競争力強化(「稼げる農林水産業」の実現)
②観光産業の振興
③イノベーションの創出と競争力のある産業の振興
④ライフスタイルをデザインできる働き方の創出
(2)誰もが活躍できる社会の実現,人材の確保・育成
①誰もが活躍できる社会づくり
②移住・交流の促進,関係人口の創出
③地域産業等を支える人材(財)の確保・育成
④次世代をリードする人材の育成
⑤教育環境の整備 ⑥高齢者が健やかで生きがいを持てる社会づくり
(3)結婚,妊娠・出産,子育ての希望がかなう社会の実現
①結婚,妊娠・出産の希望を実現できる社会づくり
②安心して子育てができる社会づくり
③子どもの夢や希望を実現する環境づくり
④子どもたちが未来に希望を持てる社会づくり
(4)時代に合った,安心・安全で活力ある地域づくり
①地域づくり
②安心・安全なくらしづくり
③地域間連携
④地域課題の解決に向けたSociety5.0の実現
⑤個性豊かで魅力ある景観づくりと活力あるまちづくり
⑥豊かな自然との共生と地球環境の保全
3.計画期間 - 2020 年度~2024 年度までの 5 年間。
これに対し、鹿児島損保会では、損保業界として、地域における安全・安心を推進する観点から 「2.取組の方向と具体的な施策」に対し以下のとおり意見表明を行っています。
意 見
○基本目標 2 ⑥高齢者が健やかで生きがいを持てる社会づくり(P.24)について
近年、高齢ドライバーによる事故が社会的に問題視されており、免許返納数が年々増加しているが、都市部以外では、公共交通機関の路線縮小等もあり、免許返納を行うと生活が困難となるのが現状である。免許返納が難しい場合、サポカーへの乗り換えや踏み間違い防止装置の設置が事故防止につながると考えており、これらの普及のため、意見するもの。
なお、政府が緊急経済対策で 1,127 億円にのぼる補助を閣議決定したこと等を踏まえ、鹿児島県として高齢者事故防止策の面だけでなく、高齢者生活支援策としても実施いただきたい。
○基本目標 3 安心・安全なくらしづくり(P.29)について
総務省消防庁によると、全国の市区町村が災害対策基本法に基づき住民に避難の勧告や指示を出した回数は、2017 年度は 915 回(2013 年度は 417 回)で近年、災害が多発し増加傾向にあり、今後、自治体は、避難所開設費用等にかかる費用への不安を抱くのではないかと考える。
つきましては、費用面を従来よりも気にすることなく、災害時という不安な時に住民への安心を提供していただきたく、地域防災計画の策定時には、災害時の自治体での避難所開設費用等を補償する保険への加入を検討するよう働きかけをお願いしたい。また、併せて、県による、自治体の保険加入への費用的支援等についても検討願いたい。
なお、「地震保険に関する法律」に基づき、地震災害への経済的な備えのとして官民共同で運営されている地震保険について、都道府県レベルの地域防災計画上、普及啓発・加入促進に係る記述が明記されていないのは、本県を含め 3 県のみとなっている(本件については今年度に入り担当部局に要望を行い前向きな意識を持っていただいていると認識している)。
東日本大震災以降、日本周辺における地震・噴火等のリスクは高まっていると認識している。本県周辺でも地震・噴火が頻発している状況にある。発災からこの 3 月で 9 年をむかえるが、復興庁の報告では、東日本大震災の避難者は約 4 万 9 千人(令和元年 12 月 9 日時点)にのぼるとされている。公助で全てに対応することには限界があり、地域住民の地震災害への経済的な備え・自助努力を促す意味でも地域防災計画に明記し、地区防災計画に落とし込むことを通じて浸透させていただきたいと考える。
最後に、安心安全な暮らしのためには、居住地が安全な場所であることも必要であると考える。
鹿児島県内では土砂災害警戒区域として 19,228 箇所(土砂災害警戒区域が土石流に係るもの6,027 箇所、急傾斜に係るもの 13,198、地すべりに係るもの 3 箇所)が指定されている。(「土砂災害防止法関連データ」(全国治水砂防協会ホームページ掲載 2019(令和元)年8 月31 日現在)より引用)
県は、土砂災害から県民の生命、身体および財産を守るため、がけ地の崩壊等のおそれがある地域に居住する住民を対象に「がけ地近接等危険住宅移転事業」を市町村が行う場合に、県として補助することで、居住不適地域からの移転を支援している。しかしながら、県のホームページによると同事業を実施していない自治体もあるのが現状である。つきましては、同事業実施市町村の拡大に資する施策の実施、利用を促進するため制度の充実について検討願いたい。
当支部では、今後も行政や関係機関と協力し、地域における安全・安心に資する取り組みを継続して推進していきます。