IAISのICS第二次市中協議への意見を提出
~IAIGsに対する国際保険資本基準について意見を表明~
2016.10.19
日本損害保険協会(会長:北沢 利文)は、保険監督者国際機構(International Association of Insurance Supervisors:IAIS)の国際的に活動する保険グループ(Internationally Active Insurance Groups:IAIGs)に対する「国際保険資本基準(Insurance Capital Standard:ICS)」の第二次市中協議への意見書を10月19日(水)に提出しました。
国際的な資本基準の策定を進めるIAISは、IAIGsの監督のための共通枠組み(Common Framework:ComFrame)の一環として、グローバルなリスクベースのICSの開発を進めており、2016年7月19日から10月19日までICS第二次市中協議を実施しました。
今回市中協議に付されたICS提案は、2014年12月から2015年2月にかけて実施された第一次市中協議に寄せられた意見や2015年フィールドテストの結果を踏まえたもので、資産・負債の評価、適格資本リソース、ICS所要資本の決定のための標準手法、グループの範囲および税(繰延税金資産・負債等)の一貫的な扱いにかかる提案について、IAISメンバーやステークホルダーの意見を募集したものです。
ICSは今後、今回の市中協議やフィールドテスト等を通じた検討・調整を経て、2017年上半期までにICSバージョン1.0を策定し、2017年から同バージョンに基づく報告を非公開ベースで行うこと、2019年にICSバージョン2.0を策定し、2020年からComFrameの一部として実施すること、それ以降も比較可能性の向上や各国規制の一層の収斂を目指し、開発を継続することが予定されています。
当協会はIAISでの国際保険資本基準策定の議論に積極的に参加しています。今回の市中協議に際して当協会がIAISに提出した意見の主な内容は次のとおりです。詳細は別添資料をご参照ください。なお、今回の市中協議に対する総論的な意見を次のとおり記載しております。
- 負債・リスクの評価・測定などの技術的論点が先行して検討されているが、本来これらの課題は、ICSの使用方法(監督上の位置付け・当局の是正措置との関係等)などとセットで議論されるべきである。
- 資本やリスクの標準的な計算手法について、2種類の考え方が提示されているが、複数の考え方が存在したまま各国の規制に導入されることは望ましくなく、1つの経済価値ベースの考え方に収斂し、真に比較可能性・公平性が確保された後で、各国に導入されるべきである。
- 規制の策定にあたっては、計算負荷の大きさとそこから得られる便益のバランスを考慮する「プロポーショナリティ原則」に基づくべきであり、この原則をICS原則に追加するべきである。