FSB「主要な特性」評価手法市中協議への意見を提出
2018.03.01
日本損害保険協会(会長:原 典之)は、金融安定理事会(FSB)による「保険セクターにおける『金融機関の実効的な破綻処理の枠組みの主要な特性』の実施評価手法」の市中協議に対する意見書を2月27日(火)に提出しました。
「金融機関の実効的な破綻処理の枠組みの主要な特性」(以下、「主要な特性」)は、金融機関の破綻処理の枠組みに係る包括的な基準であり、破綻時に金融システムに対して重大な影響が及びうる全種類の金融機関を対象としています。FSBは、管轄地域当局が「主要な特性」を実施することで、金融機関の重要な経済機能の継続性を保ちつつ、納税者が金融機関への支援に伴う損失にさらされないような秩序ある方法で、金融機関の破綻処理を確保できるとしています。
FSBでは、「主要な特性」の実施について、セクターごとの評価を促進するために、各セクターの特性に応じた手法の策定を進めています。今回市中協議が実施された保険セクター向け「主要な特性」評価手法(案)は、国際通貨基金、世界銀行および保険監督者国際機構(IAIS)の協力のもと策定され、各管轄地域における保険セクターの破綻処理の枠組みがFSBの「主要な特性」に準拠しているかを評価するための基準を提示しています。また、管轄地域間で一貫した評価の促進、および管轄地域で保険セクターの破綻処理の枠組みを導入あるいは改革する際の指針の提供等が意図されています。
当協会は国際保険監督基準策定の議論に積極的に参加しています。今回の市中協議に際しては、以下の意見等を表明しました。詳細は下記リンク先をご参照ください。
- 「主要な特性」の実施評価では、各国の市場および保険契約・商品の特徴に応じたシステミックリスクの特定・把握を行うとともに、保険業界だけではなく、金融業界全体の既存規制の有無の確認・検証等を適切に行い、規制の重複を避けることが重要である。
- 実効的な破綻処理枠組みの前提条件の評価にあたっては、各国の市場・保険商品の特性に応じた破綻処理枠組みや、その構築における各国当局の裁量・権限を認めるべき。日本の保険市場はシステミックリスクの発現可能性が極めて低く、過去の損害保険会社の破綻処理においても、関連する法制度等が有効に機能し、システミックリスクが発現した事例は存在しない。
- 主に生保負債や一部の損保負債は時間をかけて履行され、一時に全資産を売却する必要性は低いと考えられ、緊急度の観点においても保険会社に求められる再建・破綻処理計画の厳格さには他の金融機関と比べて差が設けられるべき。
- IAISは、システミックリスク評価に係る「事業活動ベース手法」を検討している。FSBとIAISの検討手法の関連性について説明が必要である。