IAISのICP6、20市中協議への意見を提出
~「支配権の変更とポートフォリオの移転」、「パブリック・ディスクロージャ」に係る基準に意見表明~
2018.09.04
日本損害保険協会(会長:西澤 敬二)は、保険監督者国際機構(IAIS)の「保険基本原則(ICP)6、20」の市中協議に対する意見書を8月22日(水)に提出しました。
ICPは、保険分野の健全な発展を促し、保険契約者を適切に保護するために必要となる保険監督上の基本的な原則を定めた監督文書です。IAISメンバー国・地域は、ICPに則った監督制度を実施することを推奨されています。また、世界銀行・IMFの金融セクター評価プログラム(FSAP)では、このICPを基準として、評価対象国の保険監督制度が国際水準を満たしているかを評価しています。
IAISは、現在ICPの包括的な見直しを進めており、今回はそれぞれ「支配権の変更とポートフォリオの移転」および「パブリック・ディスクロージャ」に関する基準であるICP6、20の改定案が2018年6月29日から8月28日まで市中協議に付されました(ICP全体の改定完了は2019年予定)。
今回の改定では、主に他のICPとの重複排除・一貫性確保が図られております。ICP6については、支配権の変更(ICP6.1、6.2)、株式会社化および相互会社化(ICP6.3)、ポートフォリオの移転(ICP6.4)の3テーマに整理されております。ICP 20については、保険契約者・市場参加者が企業活動・リスク・業績等を明確に理解できるよう監督者が保険者に求めること、ディスクロージャーが市場規律に資することが記載されております。また、既存の国内の開示要件(財務または規制)を生かすことが可能とされております。加えて、非GAAPの財務指標のディスクロージャーに関する項目が追加されております。
当協会はIAISでの国際保険監督基準策定の議論に積極的に参加しています。今回の市中協議に対し、当協会からは以下を含む意見を表明しています。詳細は下記リンク先をご参照ください。
ICP6
- ICP6.2.2に「通知のための閾値」への言及があるが、ICP6.2.4における「通知」にも同様の閾値の考え方が適用されることを確認したい。
ICP20
- 保険契約者が保険者を適切に選択できるようにするためには、保険契約者にとって必要な情報がわかりやすく開示されることが重要。保険契約者の多くが一般の消費者であり、大量の情報を収集し処理する能力や、複雑かつ専門的な情報を理解し評価する能力を有していない場合が多いことに、十分配慮して吟味し決定される必要がある。
- 開示要件は、一般消費者が理解する意欲を失わないよう、提供される情報の範囲、分量、複雑さ、専門性の程度に留意して設定すべきである。
- 保険引受リスクを管理するためのモデル等には、「他の保険者に知られることで当該保険者の競合上の地位に悪影響を及ぼすおそれのある」機密情報(ICP20.0.11)が含まれている可能性があるため、機密情報に十分な注意を払いつつ公開される、または重要な機密情報を除き公開される旨、追記すべき。
- 非GAAPの財務指標のディスクロージャーに関し、「specific practices」が何かを明確化すべき。また対象とする開示媒体を限定するべき。対象となる項目については、計算式を明らかにし、その計算がGAAPベースの数値の加減乗除である限りにおいては認容するルールとしてほしい。