IAISのICP・コムフレーム市中協議に意見提出
2019.09.03
公平な競争条件の確保や過度な制約の回避等の観点から意見
日本損害保険協会(会長:金杉 恭三)では、保険監督者国際機構(IAIS)(※1)が2019年6月14日から8月15日まで市中協議(パブリック・コメント)に付した、保険基本原則(ICP)(※2)および国際的に活動する保険グループ(IAIGs)の監督のための共通の枠組み(コムフレーム/ComFrame)(※3)に対する意見を8月14日に提出しました。
<市中協議の主な内容>
- 「保険セクターのシステミックリスクに対する包括的枠組みに係る市中協議」(昨年11月~本年1月にかけて実施/2019.1.28付 協会からのお知らせ)の結果や、その他改定案等を反映したICPおよび関連するコムフレームに対する意見募集が行われたもの。
- 具体的には、以下のICPおよび関連するコムフレームの改正案に対する意見が募集された。
用語集
はじめにおよび評価手法
ICP 7 コーポレートガバナンス
ICP 9 監督レビューおよび報告
ICP 10 予防・是正措置および制裁処分
ICP 16 ソルベンシー目的の統合リスクマネジメント
ICP 20 パブリック・ディスクロージャー
ICP 22 マネーロンダリング対策およびテロ資金供与対策
ICP 24 マクロ・プルデンシャル監督
<当協会意見概要>(詳細は添付資料参照)
- 規制の適用対象は、IAIGsであるか否かではなく、潜在的にシステミックな影響につながるエクスポージャーの大きさで判断すべき(包括的枠組みに係る改定全般へのGeneral Comment)
- 現実的に金融安定や保険セクター全体に影響を及ぼしうるエクスポージャーに絞ってリスク評価を行うべき(ICP9.1.8)
- 保険セクターにおけるシステミックリスクの規模は銀行セクター等と比べて小さいことを考慮し、その評価は保険セクター単独ではなく金融セクター全体で行うべき(ICP 10 General Comment、ICP 16 General Comment、ICP 24 General Comment等)
- システミックリスク対応の目的を達成するうえでは、流動性リスクの一般への開示よりも当局への報告が重要と思われる
- マクロ・プルデンシャル目的のデータ収集について、データ収集の費用と便益を検討のうえ効率性を考慮し、保険会社に過度な負担がかからないよう配慮すべき(ICP24.1.1、ICP24.1.2等)
- 保険会社にマネーロンダリングやテロ資金供与リスク評価にかかる情報提供を要請する場合、その内容は保険会社の負担も勘案した合理的なものとすべき(ICP22.1)
今回の改正案は2019年11月に採択される予定です。
当協会は、IAISにおける国際保険監督基準策定の議論に積極的に参加しており、今後も関係国際機関等に対して本邦業界の意見を表明していきます。
(※1)保険監督者国際機構(IAIS)の概要
1994年に設立され、世界約150カ国・地域の保険監督当局(メンバー)で構成。主な活動は以下のとおり。
1)保険監督当局間の協力の促進
2)保険監督・規制に関する国際基準の策定および導入促進
3)メンバー国への教育訓練の実施
4)金融セクターの他業種の規制者等との協力
※日本からはメンバーとして金融庁が参加しており、当協会もステークホルダーとして積極的に関与する方針を掲げている。
(※2)保険基本原則(ICP)
IAISが定める、すべての保険者・保険グループの監督において適用されるべき基本原則。保険監督機関が自らや保険会社に関し権限を持ち、管理すべき分野(例:免許交付、モニタリング、検査、破綻処理、ガバナンス、リスク管理、資本十分性、投資、開示等)について定める。適用度・強制度に応じ、「原則」、「基準」、「ガイダンス」の3層で構成。現行ICPの和訳はこちら(※)参照。
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(※3)国際的に活動する保険グループ(IAIGs)の監督のための枠組み(コムフレーム/ComFrame)
IAIGsに対して、ICPに加えて適用される監督要件。ガバナンス、リスク管理等の定性要件、定量要件(資本要件)、監督者に対する要件(監督者間協力、破綻処理等)を含む。適用度・強制度に応じ、「コムフレーム基準」、「コムフレームガイダンス」の2層で構成。また、資本要件として、国際保険資本基準(Insurance Capital Standard:ICS)の策定が進められている。IAISは、ICSを含むコムフレーム全体の2019年採択、2020年実施を予定している。
本市中協議文書(原文)は、こちらでご覧いただけます。