IAIS流動性リスク管理に係る文書案に意見提出

保険会社のビジネスモデルや取扱商品等の性質に応じた流動性リスク管理を要望

 日本損害保険協会(会長:金杉 恭三)では、保険監督者国際機構(IAIS)(※1)が2019年11月19日から2020年1月20日まで市中協議(パブリック・コメント)に付した「流動性リスク管理に係るアプリケーション・ペーパー(AP)案」(※2)に対する意見を1月16日に提出しました。

 本文書は、監督者がICP(※3)やComFrame(※4)における流動性リスク管理基準を適用する際の追加的指針を提供することを目的とした文書案であり、特にICP 16(ソルベンシー目的の統合リスクマネジメント(ERM))のうちICP 16.8、16.9と、ComFrame 16.9.aから16.9.dに関連する内容です。

<文書案の主な内容>

 本文書案に対して、当協会からは、保険会社の流動性リスク管理はビジネスモデルや扱っている商品等の性質に応じて行うべきとの意見や、プロポーショナリティ原則を適切に適用し、本APに示される各種措置が合理的な範囲を超えた過剰なものとならないよう求める等の要望を提出しました。

保険監督者国際機構(IAIS)「流動性リスク管理に係る市中協議文書」に対する損保協会意見

<当協会意見概要>

 当協会は、IAISにおける国際保険監督基準策定の議論に積極的に参加しており、今後も関係国際機関等に対して本邦業界の意見を表明していきます。

(※1)保険監督者国際機構(IAIS)の概要

1994年に設立され、世界約150カ国・地域の保険監督当局(メンバー)で構成。主な活動は以下のとおり。

1)保険監督当局間の協力の促進
2)保険監督・規制に関する国際基準の策定および導入促進
3)メンバー国への教育訓練の実施
4)金融セクターの他業種の規制者等との協力

※日本からは金融庁がメンバーとして参加しており、当協会もステークホルダーとして積極的に関与する方針を掲げている。

(※2) アプリケーション・ペーパー(AP)

IAISが作成する文書の一類型。IAISの監督文書(ICP、ComFrame等)の特定のテーマにおいて、原則や基準の一律な解釈や適用が難しい場合に、事例やケーススタディを提供することを目的に作成される文書。助言や具体例、推奨、事例などを含む。「流動性リスク管理に係るアプリケーション・ペーパー(AP)案」の原文はこちら(※でご覧いただけます。

※リンク先へ遷移後、自動的にPDF(342KB)のダウンロードが開始されます。

流動性リスク管理に係るアプリケーション・ペーパー(AP)案(外部リンク)

(※3) 保険基本原則(ICP)

IAISが定める、すべての保険者・保険グループの監督において適用されるべき基本原則。保険監督機関が自らや保険会社に関し権限を持ち、管理すべき分野(例:免許交付、モニタリング、検査、破綻処理、ガバナンス、リスク管理、資本十分性、投資、開示等)について定める。適用度・強制度に応じ、「原則」、「基準」、「ガイダンス」の3層で構成。IAISのメンバー国はICPに則った監督制度を実施することが推奨されている。

(※4) 国際的に活動する保険グループ(IAIGs)監督のための共通枠組み(ComFrame)

国際的に活動する保険グループ(IAIGs)に対しICPに追加適用される要件。ガバナンス、リスク管理等の定性要件、定量要件(資本要件)、監督者に対する要件(監督者間協力、破綻処理等)を含む。適用度・強制度に応じ、「ComFrame基準」、「ComFrameガイダンス」の2層で構成(ComFrameにかかる記載はICPと同一文書内に記載)。なお、「IAIGs」はIAISが設けた2つの基準(国際的事業活動基準(3つ以上の管轄区域で事業を行い、母国以外のグロス保険料が10%を超える)および規模基準(総資産500億米ドル以上または保険料が100億米ドル以上))に従い、各監督当局によって選定される。

サイト内検索