IAIS気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言実施に係る文書案に意見提出

自主的・段階的にTCFD提言に基づく開示を進めることの重要性を指摘

 日本損害保険協会(会長:金杉 恭三)では、保険監督者国際機構(IAIS)(※1)が2019年12月26日から2020年2月5日まで市中協議(パブリック・コメント)に付した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言(※2)実施に係るイシューズ・ペーパー(IP)案(※3)」に対する意見を2月4日に提出しました。

 本文書は、保険セクターの気候リスクに関連する開示の枠組み確立においてTCFD提言が果たす重要な役割認識のもと、IAISが2018年に採択した「保険セクターに対する気候変動リスクに係るIP(※4)」のフォローアップとして作成されました。

<文書案の主な内容>

 本文書案に対して、当協会からは、保険業界として気候変動に対応することの重要性を認識しており、TCFD提言にも賛同している一方、TCFD提言に基づく開示はまだ初期段階であり、様々な方法が模索されている現状では、まずは自主的かつ段階的に開示を進めていくことが重要、等の意見を提出しました。

保険監督者国際機構(IAIS)「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言実施に係る市中協議文書」に対する損保協会意見

<当協会意見概要>

 IAISは、今回の市中協議に寄せられた意見を参考にさらなる検討を進め、3月までに内容を固める予定です。

 当協会は、IAISにおける国際保険監督基準策定等の議論に積極的に参加しており、今後も関係国際機関等に対して本邦業界の意見を表明していきます。

(※1)保険監督者国際機構(IAIS)の概要

1994年に設立され、世界約150カ国・地域の保険監督当局(メンバー)で構成。主な活動は以下のとおり。

1)保険監督当局間の協力の促進
2)保険監督・規制に関する国際基準の策定および導入促進
3)メンバー国への教育訓練の実施
4)金融セクターの他業種の規制者等との協力

※日本からは金融庁がメンバーとして参加しており、当協会もステークホルダーとして積極的に関与する方針を掲げている。

(※2)TCFD提言

TCFD(気候関連のリスクと機会を適切に評価し、投資家や貸し手等が必要とする情報の特定を支援するため、FSB(金融安定理事会)が2015年12月に設置した民間主導のタスクフォース)が2017年7月に公表した気候変動関連財務情報の任意の開示の枠組みに関する提言(Recommendations of the Task Force on Climate-related Financial Disclosure)。

(※3) イシューズ・ペーパー(IP)

IAISが作成する文書の一類型。扱うトピックの背景や現在行われている取組み、ケーススタディ等を提供し、規制・監督上の論点・課題を特定することを意図している。説明を提供することが目的であり、監督者がその内容を実施することは期待されていない。ただし、基準策定に向けた準備として作成されることが多く、IAISによる今後の作業に関する推奨を含む場合がある。

「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言実施に係るイシューズ・ペーパー(IP)案」の原文は、こちら(※)でご覧いただけます。

※リンク先へ遷移後、自動的にPDF(0.99MB)のダウンロードが開始されます。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言実施に係るイシューズ・ペーパー(IP)案(外部リンク)

(※4) 保険セクターに対する気候変動リスクに係るIP

※リンク先へ遷移後、自動的にPDF(2.31MB)のダウンロードが開始されます。

保険セクターに対する気候変動リスクに係るIP(外部リンク)

(※5) 保険基本原則(ICP)

IAISが定める、すべての保険者・保険グループの監督において適用されるべき基本原則。保険監督者が自らや保険会社に関し権限を持ち、管理すべき分野(例:免許交付、モニタリング、検査、破綻処理、ガバナンス、リスク管理、資本十分性、投資、開示等)について定める。適用度・強制度に応じ、「原則」、「基準」、「ガイダンス」の3層で構成。IAISのメンバー国はICPに則った監督制度を実施することが推奨されている。

(※6) アプリケーション・ペーパー(AP)

IAISが作成する文書の一類型。IAISの監督文書(ICP、ComFrame等)の特定のテーマにおいて、原則や基準の一律な解釈や適用が難しい場合に、事例やケーススタディを提供することを目的に作成される文書。助言や具体例、推奨、事例などを含む。

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