IAISインフラ投資・戦略的株式投資に関するアンケートへ意見提出

 日本損害保険協会(会長:広瀬 伸一)では、「保険監督者国際機構(IAIS)」(※1)が2020年9月2日から12月7日まで実施した「インフラ投資・戦略的株式投資に関するアンケート」に対する意見を提出しました。

 IAISでは、「国際資本基準(ICS)」(※2)において、インフラ投資および戦略的株式投資について他の投資とは異なる資本上の取扱いを認めるか否かを検討しています。そこで、両投資に係る定量的データや研究、出版物等に関する情報を収集するとともに、ステークホルダーの意見を募るべく、本アンケートを実施しました。IAISでは、本アンケ—ト等を踏まえ、ICSにおける両投資の取扱いを検討することとしています。

 同アンケートに対し、損保協会では、ICSの比較可能性の確保およびIAIGの健全性維持の観点で、以下の意見を提出しました。
・インフラ投資および戦略的株式投資に関し、リスク係数の低減を適用する場合には、IAISのたたき台のとおり、定量的証拠に基づき、厳格に運用すべき。
・定量的証拠の検証について、グループワイド監督者(GWS)に裁量を与えることは地域によって裁量の行使レベルに差異をもたらし、ICSの比較可能性確保に悪影響を与える恐れがあることから、検証はIAISが均一の基準に基づき実施し、検証の結果認められたリスク係数は他のIAIGにおいても利用を認めるべき。

 損保協会は、IAISにおける国際保険監督基準策定等の議論に積極的に参加しており、今後も関係国際機関等に対して本邦業界の意見を表明していきます。

保険監督者国際機構(IAIS)「インフラ投資・戦略的株式投資に関するアンケート」に対する損保協会意見

(※1)保険監督者国際機構(IAIS)の概要

1994年に設立された世界約200か国・地域の保険監督当局(メンバー)で構成される国際機関。主な活動は以下のとおり。

1) 保険監督当局間の協力の促進
2) 保険監督・規制に関する国際基準の策定および導入促進
3) メンバー国への教育訓練の実施
4) 金融セクターの他業種の規制者等との協力

※日本からは金融庁が参加しており、当協会も積極的に関与する方針を掲げている。

(※2)国際資本基準(ICS)

国際的に活動する保険グループ(Internationally Active Insurance Groups:IAIGs)に対する各国の資本規制間の比較可能性向上を目的として、IAISが2013年から開発を進めているIAIGsに適用される経済価値ベース、グループ(連結)ベースの資本十分性の指標。

IAISはICSの開発を段階的に進め、2017年7月にICS1.0を、2019年11月にICS2.0を策定した。2020年から5年間の試行期間(モニタリング期間)を設け、内部モデルの扱いや比較可能性、意図せざる影響等を分析・検討のうえICSを最終化することとしており、各国では法制化のうえIAIGに対する規制資本として適用することとなっている。

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