高齢運転者は「出会い頭事故」に注意を
~損保協会で高齢者の交通事故特性を踏まえた啓発取組みを推進~
【No.16-031】
2016.12.16
昨今、認知・身体機能等の低下を一因とした高齢者による交通事故が多発しており、大きな社会問題になっています。
一般社団法人 日本損害保険協会(会長:北沢 利文)では、高齢者交通事故の防止・減少に向けた取組みの一環として、公益財団法人 交通事故総合分析センター(ITARDA)と連携して高齢運転者の交通事故に関する調査報告書を取りまとめました(後述1.参照)。
本調査において、高齢運転者事故の特徴として、非高齢運転者と比べて出会い頭事故の割合が高いことなどが確認されました。
当会では、これまで高齢運転者の交通事故防止の取組みを推進してきました(別紙参照)が、今後、本報告書の分析結果等を活用し、出会い頭事故の防止など交通事故の特性によりポイントを絞った高齢者向け交通安全啓発活動をさらに展開していきます。
1.高齢運転者事故の主な特性(ITARDA報告書から抜粋)
○高齢運転者事故の発生状況
高齢になるにつれて、交差点などで異なる方向から進行してきた車両同士が衝突する「出会い頭事故」を起こしやすくなる(出会い頭事故の割合:非高齢運転者23%⇒高齢運転者30%)。
○高齢運転者の出会い頭事故の特徴
出会い頭事故の65%が信号機なし交差点で発生。主な事故要因は加齢に伴う認知・身体機能の低下により、一時不停止や安全確認ミスを起こしやすくなることが考えられる。
○対策のポイント
一時停止を徹底するとともに、交差点内が目視できるところでもう一度停止・安全確認をしたり、安全な速度で通行することを心がける。
※調査結果の詳細は、ITARDAホームページに掲載されている「イタルダインフォメーション No.119」をご覧ください。
2.今後の取組み(予定)
○ 本調査報告書に基づき、高齢運転者事故で最も事故率が高い「交差点の出会い頭事故」と高齢運転者事故の主な要因である「加齢に伴う認知機能や身体機能の低下により、一時不停止や安全確認ミスを起こしやすくなる」ことに着目して、啓発活動を進めていきます。
○ 高齢者向け注意喚起チラシと反射材の活用は県警などの関係者から高い評価を得ており、事故防止に効果のあるツールをさらに充実させ、これらを用いた取組みを進めていきます。
(参考)損保協会のこれまでの取組み概要
1.高齢者向け注意喚起チラシ(警察庁監修)による啓発取組み
高齢者の運転時・歩行時の事故パターンと予防策をまとめたチラシを作成し、交通安全講習、高齢者戸別訪問などで注意喚起を実施 (2016年11月末現在約163万部配付)。
※チラシは好評により協会HPに掲載していますので、高齢者のいるご家族でご活用ください。
2.反射材による啓発取組み(静岡県、愛知県、広島県、香川県など)
県警などと協力し、薄暮から夜間の高齢歩行者事故防止に効果的な反射材を高齢者に配付・装着を呼びかけ(香川県では2016年8月に反射材付チラシを35,000枚作成し高齢者に配付。9~10月中の高齢者交通事故のうち、反射材着用者の死亡事故は発生していない)。
※反射材は普段使う靴や杖など日常身に着けるものにぜひ装着してください。
3.「全国交通事故多発交差点マップ」全都道府県分を公開
都道府県別に人身事故件数ワースト5の交差点を全都道府県分を紹介するHPコンテンツ「全国交通事故多発交差点マップ」に交差点での高齢者交通事故データ(注)を掲載し、高齢者の交通事故防止を注意喚起。
※お住まいの地域における事故多発交差点を知り、交通安全・事故防止にお役立てください。
(注)65歳以上の歩行中・自転車乗用中の死者数のうち、交差点での死者数割合等