年頭所感

一般社団法人 日本損害保険協会
会長  北沢 利文

 2017年の新春を迎えるにあたり、年頭のご挨拶を申し上げます。

1.はじめに

 昨年は、平成28年熊本地震や鳥取県中部地震等、これまで必ずしもリスクが高いと思われていなかった地域で大きな地震が発生し、多大な被害をもたらしました。また、北海道に3つの台風が上陸したこと、東北・太平洋側から台風が上陸したことは、いずれも観測史上初めてとされています。まさに自然災害の脅威がこれまでの延長線上にない形で全国に広がった1年であったと思います。  私ども損害保険業界といたしましても、様々な自然災害のリスクからお客さまをしっかりとお守りしていかなければならないと、決意を新たにした年でもありました。  さて、我が国経済は、雇用・所得環境の改善や企業収益の向上が進み、緩やかな回復基調にあります。今後、英国のEU離脱や米国新大統領の新たな政策等によりどのような影響が生じるかを注視しつつ、我が国において経済の好循環による持続的な景気拡大が定着していくことを切に願っております。

2.本年の主な取組み

 「リスク等に関する幅広い情報の発信」や「確実な保険金支払いに資する取組み」に関連する施策等を中心に、第7次中期基本計画を着実に進めてまいります。

(1)リスク等に関する幅広い情報の発信

 当協会では、昨年より地震保険制度創設50周年記念事業として、地震リスク・地震保険に対する理解を広げる取組みを推進しております。昨年に引き続き、全国で開催している代理店向けセミナー等を通じて、地震保険普及の担い手となる代理店の情報発信力強化に軸足をおいた活動を行ってまいります。
 消費者向けには、地域のリスク特性を踏まえた防災・減災啓発活動として、1月に広島で「防災講演会」、2月には東京で首都圏大規模水害をテーマとする「住民向け啓発セミナー」を実施いたします。
 また、当協会で作成した「損害保険・防災リテラシーマップ」に基づく各種メニュー等を活用し、若年層から高齢者まで幅広く啓発活動を推進し、損害保険の理解促進、交通安全の推進、地域防災力の向上につなげていきたいと考えております。

(2)確実な保険金支払いに資する取組み

 南海トラフ巨大地震や首都直下地震のような有事に備え、昨年に引き続き、モバイル端末による損害調査の利用拡大等、保険金の迅速かつ適正なお支払いに向けた態勢の整備を進めてまいります。
 また、有事の際に従来以上に迅速に会員各社と連携できるよう、当協会のBCP(事業継続計画)の改善に向けた検討を重ねてまいります。

(3)アジア損保市場の健全な発展に向けた取組み

 5月にはアジア各国・諸地域の保険監督官庁や損害保険協会等のトップ層を東京に招聘し、「アジア損害保険エグゼクティブフォーラム」を開催いたします。アジア損保市場の健全な発展について論議するとともに、各国・諸地域との関係をより一層深めてまいりたいと思います。

3.おわりに

 当協会は今年5月29日に創立100周年を迎えます。
 私どもはこれまで、人々の豊かな暮らしや活発な企業活動を下支えする社会のインフラとして、我が国の経済発展に貢献できるよう努めてまいりました。

 これから社会は想定を超えるスピードで変化していくものと思われます。こうした激しい変化によって、様々なリスクが増大するとともに新たなリスクが発生していきます。万が一の際の確かな備えとして、損害保険がお客さまのお役に立つことができるよう、さらに努力をつづけていきたいと考えております。ご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

 最後になりましたが、本年が皆さまにとって素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

以 上

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