2020年度自賠責運用益拠出事業19億円を決定
-自動車事故防止対策や被害者支援に自賠責保険の運用益を活用-
【No.19-027】

 一般社団法人日本損害保険協会(会長:金杉 恭三)は、2月20日(木)の当協会理事会において、各損害保険会社から拠出される自動車損害賠償責任保険の運用益を活用し、新規6事業を含めた42事業に対する総額18億7,573万円の支援を決定しました。

 当協会では、1971(昭和46)年から、同運用益を活用した自動車事故防止対策事業や被害者対策事業などの多様な分野に対する支援を行っています。2020年度の支援では、自動車事故被害者対策を中心に取り組むとともに、昨今の交通環境の変化を踏まえて、自動車事故防止対策事業に重点的に拠出することを基本方針としています。
 また、先進技術の活用が特に進んでいる分野である自動車事故防止対策においては、新たに公募を開始し、より社会的ニーズに即した事業に拠出するように努めています。

高齢運転者の運転時認知障害の早期発見事業で使用されるプログラム

1.2020年度「自賠責運用益拠出事業」概要

(1)自動車事故防止対策
(2)救急医療体制の整備
(3)自動車事故被害者対策
(4)後遺障害認定対策
(5)医療費支払適正化対策

2.2020年度「自賠責運用益拠出事業」概要

(1)自動車事故防止対策

ア.運転者の健康管理を支援する「体調予報」システムに関する基礎的検討(事業主体:公益財団法人大原記念労働科学研究所)<新規事業>

・近年の高齢ドライバー増加に伴い、運転中の急な体調変化に起因すると考えられる健康起因事故への対応が求められています。安全に運転を続けるためには、高齢者に限らず、全てのドライバーが適切に健康を管理することが必要です。

・本研究では、ドライバーが自身の健康状態に気付き、安全運転のために日頃から健康に気を配る行動の促進を支援する「体調予報」システムを構築するため、職業ドライバーからデータを収集し、予測アルゴリズムを開発します。さらに、職業ドライバーのモデルから得られた知見に基づき、一般ドライバーへの適用モデルを検討します。

イ.高齢運転者向け認知機能検査の副作用とその緩和策の検討(事業主体:筑波大学)<新規事業>

・道路交通法の改正によって、75歳以上の高齢運転者には運転免許の更新時に、認知機能検査が義務付けられています。同検査は認知機能の低下を発見することにより、認知機能低下による事故を未然に防止する施策ですが、同検査で「記憶力・判断力に心配がない」と判定された人に「認知機能に今のところ心配がない」という結果の認識だけでなく「運転技術も高い」という過信(副作用)を招いている可能性が示唆されています。

・本研究では、認知機能検査が受検者にもたらす心理的影響の効果・副作用を大規模調査により検証のうえ、副作用の緩和策を検討し、行政等に提案を行います。

(2)自動車事故被害者対策

ア.高次脳機能障害当事者によるピアサポートの研究(事業主体:エスポアール出雲クリニック)<新規事業>

・本事業では、高次脳機能障害者(当事者)が、支援者として当事者や他の家族支援が可能となる研究を実施し、ピアサポーター養成のテキストを作成します。

・当事者のピアサポート活動は、被支援者に対する支援が充実することに加え、支援者自身の自立にもつながります。また、作成したテキストに基づき基礎研修プログラムを全国展開することによって、全国の高次脳機能障害者・家族への支援拡大が期待されます。

その他事業については、別紙の「自賠責運用益拠出事業一覧」をご参照ください。

自賠責運用益拠出事業一覧(PDF)

ご参考:「自賠責運用益拠出事業」について

・自賠責保険は交通事故被害者への損害賠償という保険本来の役割だけでなく、自賠責保険の収支の改善や被害者保護を増進するため、交通事故防止や救急医療体制の充実、被害者やその家族の支援事業などを支える役割も担っており、自賠責運用益が活用されています。

・自賠責運用益の使途は、将来の自賠責保険の収支改善のための財源とするほか、自動車事故防止対策、救急医療体制の整備、自動車事故被害者対策等に必要な費用など、被害者保護の増進に資する施策に活用できるとされています(自賠法第28条の3)。

・当協会では、各損害保険会社からの運用益の拠出を受け、真に被害者の支援となる事業を心がけ、「自賠責運用益拠出事業」の運営を行っております。

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