【コラム】「万一への備え・リスクマネジメント」
2015.04.27
当協会の深田一政常務理事が「週刊エコノミスト」(毎日新聞社発行)に寄稿した コラム「万一の備え・リスクマネジメント」(隔月掲載)を「週刊エコノミスト」の了解を得て紹介します。
併せて、関連するリンク先を掲載します。
第6回のコラムは<新生活に潜むリスクの教育を>がテーマです。
第6回 新生活に潜むリスクの教育を (2015年5月5・12日合併号)
新年度を向かえ、新生活をスタートさせた方も多いと思います。それに伴い、自動車の運転をするようになった、一人暮らしを始めた、海外旅行をするなど、これまでにはない経験をすることがあると思いますが、そこには様々なリスクが潜んでいます。例えば、自動車事故、火災・地震、海外旅行でのトラブルなどです。
日本損害保険協会では、大学生や新社会人等を対象とした損害保険の入門冊子「そんぽのホント(フレッシャーズガイド)」を作成し、ホームページに掲載しています。前半部では、事故の発生状況、保険の特徴や仕組みなどをクイズ形式で説明し、後半部では、海外旅行や自動車の運転、一人暮らしといった身近な場面別に、必要となる損害保険を解説しています。
会社や大学で新入社員・新入生を対象としたガイダンスを開催する際には、この冊子を参考に身近なリスクへの備えについて、是非取り上げていただきたいと考えています。
第5回 国際防災世界会議で防災・減災を考える (2015年3月3日号)
3月14日から仙台市で第3回国連防災世界会議が開催され、当協会も2つのイベントで参画します。
3月14日の「地震保険フォーラム」は、2014年度の地震保険広報キャラクターでモデルの知花くららさんが被災地を訪ねて感じたことや被災地の子ども向けに取り組む活動を披露するトークセッションと、パネルディスカッションなどを通じ、官民が共同で運営する生活再建のための「地震保険」の有用性の理解を深め、普及を促す内容です。
3月15日の「防災教育フォーラム」では、「子どもが主役の防災教育の実践」をテーマに、「まち歩き」をベースにしたリスクへの気づき、想像力醸成を狙いとする小学生の防災教育「ぼうさい探検隊」などの課題の掘り起こし、今後の防災教育のあり方を学校、行政、地域防災リーダーなどに考えてもらうパネルディスカッションを行います。
いずれのイベントも仙台市の「AER(アエル)TKPガーデンシティ仙台」21階のホールで開催します。仙台にお越しの際には、是非お立ち寄りください。
第4回 大雪に備えて事前の対策を (2014年12月30日・2015年1月6日合併号)
2014年2月の首都圏を中心とした大雪による支払い保険金(見込み含む)は2536億円で、雪災による支払い額としては過去最大になりました。
これから本格的な雪のシーズンを迎えるにあたり、防災・減災のポイントを考えました。 1.大雪警戒時のテレビやラジオ、インターネットでの気象情報のこまめなチェック 2.屋根、外壁等の耐久性や、ひび割れがないかの点検 3.雪靴の用意や靴の滑り止め対策 4.毛布、非常食、携帯トイレなどの準備 5.スノータイヤ等への交換 6.積雪に備えたカーポートの補強や安全対策 7.雪下ろし作業時の安全対策(滑りにくいゴム長靴、命綱やヘルメットの装着、周囲の人への声かけ) 8.学校や会社における休校、時差出勤の早めの指示・判断-などです。
特に、降雪に不慣れな地域では、思いもよらない事故につながる恐れがあり、より一層の注意が必要です。
無駄な準備となることをいとわずに被害を未然に防いだり、最小限にとどめたりするためにも想像力を高めて備えてください。
第3回 自分の命は自分で守る (2014年11月4日号)
東日本大震災を教訓として、2011年6月に「津波対策の推進に関する法律」が施行され、11月5日が「津波防災の日」に定められました。1854年11月5日(旧暦)の安政南海地震による津波襲来の際に、稲に火を付け、逃げ遅れていた人たちを高台に避難誘導して命を救ったという「稲むらの火」の物語にちなんでいます。
国土を海に囲まれている日本では、沿岸部に居住されている方はもちろん、そうでない方でも行楽や仕事などで沿岸部に出かけたときに津波に遭遇するかもしれません。津波は決して他人事のリスクではないのです。
津波の訓練通報や避難訓練が各地の自治体で実施されています。津波が来たら、各自てんでんばらばらに一刻も早く高台に逃げることを意味する「津波てんでんこ」の考えをベースに自分の命は自分で守るという教育や日々の訓練に優る対策はありません。過去の災害に学び、職場での机上訓練や避難ルートの確認をはじめとした訓練の実施をお勧めします。それはきっと将来の安全・安心につながっていきます。
第2回 防災の日~関東大震災から91年 (2014年9月9日号)
9月1日は防災の日。災害と防災について改めて考えてみるよい機会だと思います。南海トラフや首都直下大地震、大規模自然災害に備え、国土強靭化基本計画の実行が急がれるのも国のリスクマネジメントとして必須だからです。国や自治体、企業が備えなければいけないハード面・ソフト面の課題は多岐にわたります。
まずは災害の恐ろしさを知り、災害後の生活や状況を想像し、備えの大切さに気づくことです。ハザードマップなどをもとに過去の災害を教訓として学び、何をしておけばよいのかを考えることが防災・減災の第一歩です。具体的には、安否確認、避難場所の確認、非常持ち出し袋の準備、耐震補強の工夫などがあります。
日本損害保険協会は「動画で学ぼう!ハザードマップ」というeラーニングコンテンツをホームページに掲載し、ハザードマップをもとに地域の自然災害リスクを知り、対策を行うためのヒントなどをまとめています。リスクリテラシーの高さは災害に強い国づくりにつながります。
第1回 平時の備え 防災教育 (2014年7月8日号)
損害保険は、万が一の事故で生じる損害をカバーし、国民生活や企業の事業活動等を下支えしています。
一方、事故の未然防止や損害を軽減することも大切です。業界では、損害保険事業を通じて蓄積したノウハウを活かし、事故防止・削減活動などに取組んでいます。とりわけ協会では防災教育や交通安全対策などを地域と連携し幅広い活動を行っています。例えば、身体を動かし遊びながら災害時の行動などを学べる幼児向けのカードゲーム「ぼうさいダック」や、自分たちの暮らす地域を回って危険な場所や安全のための設備を見つけ出し、マップにまとめる小学生向け「ぼうさい探検隊」などは幼児・小学生向けの防災教育として高い評価を受けています。
自然災害や事故災害への「平時の備え」として、想像力を高め、想定外を極小化する防災教育を幼少期から行うことが、リスクリテラシーが高く、いざという時に柔軟に対処できる安心・安全な社会づくりには必須と考えます。