IAISの再建計画に係る文書案に意見提出
2019.01.16
公平な競争条件の確保および策定負担を考慮した再建計画策定について意見
日本損害保険協会(会長:西澤 敬二)では、保険監督者国際機構(IAIS)(※1)が公表した「再建計画に係る適用文書(アプリケーション・ペーパー)(※2)案」に対する意見を2018年12月27日に提出しました。
本文書は、再建計画ならびに監督者間の協力および協調について、監督者に提言と指針を提供すること等を目的に、主に次の内容をまとめたもので、2018年11月12日から1月7日まで市中協議(パブリック・コメント)に付されました。
<文書の主な内容>
文書の目的
- 再建計画ならびに監督者間の協力および協調について、監督者に提言と指針を提供すること。
- 再建計画に関して、保険者に追加情報を提供すること。
- 再建計画に関連した原則、基準および指針の適用を解説するための例を提供すること。
文書の提案内容
- 再建計画の目的・概念、プロポーショナリティ原則の適用、策定および承認プロセス、リスク管理やガバナンスとの関連、主要な要素、監督者の役割等
当協会では、プロポーショナリティ原則の適切な運用や過度な負担を避ける観点から、以下の意見を提出しました。
<当協会意見概要>
- プロポーショナリティ原則の運用にあたり、各国における適用方法や適用水準にバラつきが出ることを懸念する。適用にあたっては、公平性確保のため競争条件が等しくされるべき。
- プロポーショナリティ原則を適用し、ICSの水準やORSAにおける課題等に応じて、再建計画にかかる要件の軽重を判断し、財務健全性が高い会社に再建計画の立案を求める場合は過度な負担とならないようにすべき。
- 再建計画が、適切なプロセスを経て策定されている限り、ORSAに再建計画が包含される場合を許容すべき。
IAISは、今回の市中協議に寄せられた意見を参考にさらなる検討を進める予定です。
当協会は、IAISにおける国際保険監督基準策定の議論に積極的に参加しており、今後も関係国際機関等に対して本邦業界の意見を表明していきます。
(※1)保険監督者国際機構(IAIS)の概要
1994年に設立され、世界約150カ国・地域の保険監督当局(メンバー)で構成。主な活動は以下のとおり。
1)保険監督当局間の協力の促進
2)保険監督・規制に関する国際基準の策定および導入促進
3)メンバー国への教育訓練の実施
4)金融セクターの他業種の規制者等との協力
※日本からはメンバーとして金融庁が参加しており、当協会もステークホルダーとして積極的に関与する方針を掲げている。
(※2)適用文書(アプリケーション・ペーパー)
IAISが作成する文書の一類型。IAISの監督文書(ICP、ComFrame等)の特定のテーマにおいて、原則や基準の一律な解釈や適用が難しい場合に、事例やケーススタディを提供することを目的に作成される文書。助言や具体例、推奨、事例などを含む。
本市中協議文書(原文)は、こちら(※) でご覧いただけます。